Nicotto Town



好きな5冊(戦争と文学)


1、野火 (大岡昇平)

カニバリズム的側面が強調されてますが、おそらく枝葉末節。
退廃文学として享受すれば、絶望と再生と救済の物語と読めるのかもしれない。
これは私たちが生きる現在の見事な隠喩である、という思いを抑えられない。

2、日はまた昇る (ヘミングウェイ)

『武器よさらば』は恋愛小説である。『西部戦線異状なし』は記録文学だろう。
この作品の主人公とヒロインの生き様は紛うかたなき『戦後』だと思う。
こうした重たいものを抱えていれば、銃口を咥えたくなっても致し方ない。

3、大失敗 (レム)

知的であること、意思疎通を図ることは『罪と罰』なのだろう。
人間は自由の磔刑に処せられているだけではなく、知性という原罪を背負わされた。
我々はどうやらアダムとイヴの子孫であることを辞めるわけにはいかないらしい。

4、ヒトラーとナチス (ヘルマン・グルーザー)

山ほど出ているナチス本。この本から民主主義とファシズムの親和性を教わった。
親衛隊や突撃隊の歌の歌詞、反原発デモのシュプレヒコールと何が違うのか。
右も左も上も下も嫌いな私に、群れ集うことを拒否する確信をくれた大切な一冊。

5、夏の葬列 (山川方夫)

生は他者の死によって支えられているのであり、生命の業とはそうしたものだった。
だが、この話の重さを理解できる情緒を日本人は既に失って久しい。
淘汰と洗練はもはや取り返しのつかぬ速さで進み、強靭な者のみが生き残るのだ。

……うーむ。現代人が読むべきでもなく、遺す必要もない書ばかりだ。
とっとと焚書にでもすればいいのに。いや、遠からずそうなるでしょ。
私は地下に潜り、有害図書コレクターとして死んでいこうと思います。




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