Nicotto Town



コードウェイナー・スミスの復刊に思う


ハヤカワSF文庫の復刊で『人類補完機構』シリーズが再刊。
時代順に整理して全3冊にするとの話、第一巻は『スキャナーに生きがいはない』。
初期の作品が好きなので、昨日買おうか悩んだがパス。全部持ってるはずだ。

私はスミスが好きなのか。しばらく考えたが、おそらく首肯はできない。
佳作だと思うが私にとっての名作ではない。なぜだろうか首を傾げた。
どうやら端整さ、敢えて言えば『文人画』的な完成度の高さに引っかかるようです。

破天荒なタイプのものを好む私にとっては、宝石のようなスミスの作品はキツい。
彼の中国名は孫文につけてもらったという。アッパークラスのインテリへの敵意かも。
似た作風のオースン・スコット・カードの短編は好きであるが、肌触りが違う。

『バベルー17』等を書いたディレイニーの方がまだ好きである。
『ノーストリリア』は凄いけど『ノヴァ』のほうが好み。いい話なんですけどね。
どこかに破綻のある物語のほうが、共感できる部分が大きいのではないかな。

トンデモ作品として有名なクリス・ボイスの『キャッチワールド』は大大スキである。
世評の高いバリントン・ベイリーよりも遥かにベスターに近い。見事な破綻。
著者によるインプロビゼーションが収拾不能になる瞬間が最高です。

音楽的な趣味が反映しているのかもしれない。喩えてみよう。
『ノーストリリア』はマイルスの『ソー・ホワット』的かな。
『ノヴァ』はマイルスなら『ビッチズ・ブリュー』に似た味わいもある。フィルモアか?

ベイリーの『禅銃』『カエアンの聖衣』はサムラ・ママス・マンナの諸作っぽい。
『キャッチワールド』はもう、コルトレーンの『インターステラースペース』並みである。
ベイリーでも『永劫回帰』にはアルバートアイラートリオ的響きがある。死の香り。

脱線しすぎた。スミスの『人類補完機構』は珠玉という表現の似合う作品群。
未読の方、完成度の高さを好む方には自信を持ってお勧めできます。
破調の美を愛する方が『エヴァ』繋がりで読むと落胆する可能性があります。

もう一度脱線。アニメ会社ガイナックスにはSFマニアがいっぱいいます。
『グレンラガン』シリーズは素晴らしかった。あれの元ネタはワイドスクリーンバロック。
ベスター、ベイリー、イアンワトソン、F・ブラウン等が散りばめられており楽しい。

うー、散らかって収拾がつけられない。もう一本書こう。
キャッチワールドは好きすぎて、書きたいことがいっぱいあるのです。
スミスも素晴らしいが、奇天烈な怪作の方を好む私。

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2016/03/30 10:40
>ヘルミーナさん

おはようございます。詩を好む方々には『枯木灘』の評判がいいみたいです。
あとエヴァ、TV放映だけで完結という意見に賛成。(旧劇場版エンディングもすき、でもここまで)。
世紀の変わり目ごろ、一部バンドマンにエヴァを流行らせ、私の録画したビデオがたらい回しにされてました。
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2016/03/30 10:20
中上健次、『蛇淫』一冊しか読んでないのです。
(でもよかったですが……! 積んである『枯木灘』も読まなくちゃ)
中上健次といえば、フォークナーも読んでおかなくちゃという気持ちが強くてなかなか読み進めずにいます。

いきなりみたエヴァの本放送が25話って凄いですね。
わたしはエヴァといったらテレビ放映のみで良いのではないかと思ってます。
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2016/03/30 07:36
>ヘルミーナさん

亀レスで失礼します。スミスは短編というのは私も同感です。宝石の結晶度が高いような気が。
アイラーがお好きならきっと中上健次もお好きなのでは……邪推です。
あと、発表順や自分の読んだ順番って凄く作家の評価に影響しますよね。私もその傾向があります。

非常に無関係な話ですが、仕事がたまたま休みで家でゴロゴロ、テレビをパチリ。あら、アニメか。
へー、少年が椅子に座って……え、なんかいろんな人から責められてる。自己開発セミナーじゃん。
今のアニメってこういうのなのか、スゲエな……TVのエヴァンゲリオン25話、本放送でした。だから好き。
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2016/03/27 16:30
一番触れたいことを書き漏らしてしまっていました!

早川のコードウェイナー・スミスの復刊、
なんでも人類補完計画の時系列順だそうですね。
ひととおり読んでからヴォマクト姉妹のルーツ、「マーク・エルフ」を読めない、
なんてなんとつまらない……。

早川はよい作品をなかなか復刊しなかったり、
復刊しても表紙のセンスが酷すぎたり、最近はいい印象ないですね。
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2016/03/27 16:11
あれ、公開範囲いじるかしましたか? ともあれ今この記事を読んでなるほど~と思ったところです。
たしかにコードウェイナー・スミスには破調乱調の美はありませんね。

しかしコードウェイナー・スミスが好きでも、
ブラッドベリと同じで短編に本領発揮と思っているので、
『ノーストリリア』は読んでいません。

ベイリーも読んだのは早川から出てた3冊、
それも好きなのは『シティ5からの脱出』なのです。
『キャッチワールド』が今ひとつわたしの琴線に触れなかったということは、
案外ユースケ様とわたしとは正反対なのかも。

マイルスにたとえるならコードウェイナー・スミスの短編群は「小川のマイルス」かもしれませんね。

逆にアイラーは好きなので、ベイリーの『永劫回帰』読んでみます。確か持っているはず。

とりとめのないコメントでごめんなさい。



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