Nicotto Town



◎◎はスキだけど◎◎ファンは……


今回は自戒をこめた記事でございまして、
特定の方だとかムーブメントを批判する意図はいっさいございません。
あー、分かるよねー、って話でございます。

遥か昔のこと、ある女性がのたまった。
「ジャズ好きなんだけど、ジャズファンとかマニアって大キライ」
全くもって同感。ブンブン首を縦に振る。でも脇の下をヒヤリと冷たい汗。

ファン・マニアにありがちなのが「価値観の押し付け」。
私は人に多趣味だと言われる。様々なジャンルで思い当たることがある。
いろいろ書いてみましょう、実例を。まずは得意の音楽系。

「ドミナントモーション分からない? ああ、きみロックか、なら仕方ないか」
「PFM以外のイタリアンプログレって、完成度低くてダメだね、飽きる」
「出したい音の手本となる音楽もなしに、オールド楽器屋に来てもムダですよ」

ジャンルに拘泥する方の多くは「権威」「正統」への依拠がタイヘン強い。
音楽酒場で山下洋輔のピアノソロが写ったとき、客の一人が、
「ああいうデタラメ、音楽としてやってるの腹が立つ」と仰った。ハイハイ、そーですか。

カメラ世界もこの手の話題には事欠かない。
「ペンタックス……ああ、初心者向きメーカーですからね、気楽に楽しむには最適ですね」
「ツァイスの写真は必ず分かりますよ。そういうものが国産にはありません」

「中判を手持ちで使ってる? とんでもない、最初にいい三脚を買いなさい」
「この構図は何を狙ったの? ……え、構図やってない? 勉強しなよ」
「そういう安ズームで鳥狙いに来るアマチュアが増えててさ、けっこうウザイんだよ」

他ジャンルでも必ずありますな。幾つか挙げてみよう。
「そんな竿じゃダメ。まずちゃんとした磯竿買ってきな、〇〇にいい店あるから」
「九谷? そんな安物より、まず白磁と青磁買って本質を覚えなさい」

「そういう派生書買う前に、ちゃんと原典一揃い買って読み込みなさいアンタ」
「能を観るならそれなりの準備が必要です。まずはあれとこれと……」
……あああああああ、もーいい、黙れ。俺は単純に楽しさを追求してるんだ。

私も一家言、というか、ド素人ならではの拘りや考えくらいある。
でも、自分の好みを人に押し付けることのないよう、気は使ってると……思う。
かくして私は集団に属することを極度に嫌うようになりました。

好みを大声で語るのは大変楽しい。でもね、人の好みを理論武装して否定すんな。
スルメイカだって美味しいし、モンゴウイカのネットリ感もイイ。
私はトロが大キライ、赤身が最高だと思う。でもトロ好きを批判はしないよ。

価値観の同じヤツラが集まる、それ自体は大変ケッコウである。
でも、間違った方向に行くと……権威が生まれ、全体主義、ファシズムがスタートする。
女性作家、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアはいみじくも仰った。

「あらゆる権力は腐敗します」

良い言葉だと思う。生涯、集団や理論を背にして語りたくないと決意する。
意味、というものは外に求めず内側に求めるべきなんだろう。
それが人生だと思う。だからあらゆる人生も事物も等価で、必ず意味がある。

うひゃ、大脱線しました。でも「〇〇ファン」の一員になりたくない理由はここにある。
俺はディバイザーのギターが好きだ。ミュージックマンのアンプが好きだ。
レンズはタクマーが性に合う。バターは雪印。だけど、違う人がいてもいいのだ。

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2015/06/10 19:16
〉ラムセス2世さん

こういう心境、というか頑固さを、幸い私は若い時に獲得できました。
悩んでる方とか、人の評価を気になさる方は、心優しいが故に傷つきやすいですよね。
そういう『サイレント・マイノリティ』を私はできる限り尊重したいです。

風情を湛えた恐怖、狂気っていう描写が少なくなりましたねー。
雨月物語とか、サキの短編とか好きです。


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2015/06/10 13:14
おっしゃるとおり、押し付けにならないように気を付けなくちゃ行けませんね。
詳しいがゆえについ、教え諭したくなるのかもしれません。

分かりやすく説明することとは違う、
とは頭では分かってても、
難しいかも知れませんね。

スプラッタは同じくだめです><
ホラーと言う名のスプラッタも。
牡丹燈籠のような「恐怖」を感じさせるものがなくなってきた気がします。
苦手ですがw
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2015/06/06 09:23
>世沙明さん

おはようございます。なかなか難しい話題なんですよね。
私もマニア気質に溢れすぎた偏屈ジジイです。でも、多様な好みを受けいれる努力もしてます。
ただですね……ホラー・スプラッター系だけは大の苦手、その話題が出ると「やめろー!」と激怒。器が小さい。
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2015/06/06 09:19
その道に詳しければ詳しい方と話すほど、
同程度の知識を求められるのは仕方ないのかしら?
自身の価値観を押し付けられるのはやはり苦手ですねぇ。
世界観を見せてもらい新しい一面を知るのなら良いのに。
自身との差がある事を認められて歩み寄るご教示なら嬉しい。

違うを認められる「器」の人が周りに多いと幸せです。



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