Nicotto Town



キース・エマーソンのケレンを愛す


キースエマーソンが自ら世を去ったという。享年71。
この人を私はロック屋だと思っている。ゆえに死に様もロックだと認定する。
徒然なるままに、彼の凄さを語ってみよう。

コヤツがどの程度のアホなのか知りたければ、初期ELPの映像を見ればよい。
鍵盤の城を構築し暴れまわりハモンドを虐待しムーグ苛め飛び跳ね縦横無尽。
しかも演奏は極上。『石をとれ』のピアノパートなんて泣きそうになる。

だいたいELPのスタート前、ジミとバンドを組もうと思ってたらしい。大タワケだ。
大変不適当な譬えだが、キースは60年代末の山下洋輔とダブる。
山下は素晴らしい相方に恵まれたが、キースはどうであったか。

正直、美声のアンパンマンと美形のメトロノームを手に入れただけだ(お叱り覚悟)。
グレッグレイクはそこそこ弾けるが狂気を持っていないのが致命的である。
カールパーマーってなんであんなにリズムよれるのか。グルーブとは言わないぞ。

だがこの2人を上手く使ったのは天才の業である。キースのおかげで2人が輝いた。
クレージーなキーボードサウンドに引きずられるような無機質なドラム、
その上に載る歌声と適度に暴れるベース。これがELPである。

センスが尋常ではない。近現代の音楽家を本当に愛し、カッコいいと思い引用する。
クラシック音楽の歴史が骨髄にしみこんでるのだろう。伝道師である。
ヤナーチェクなんてキースがいなければ生涯聴かなかったと思うのである。

天才はそこで止まらない。電子音楽の本質は音色だということを体現した。
音色を創れば音楽ってのは半分以上終わる、という職人音楽家の言葉があるが、
キースは魅力的な音色を山ほど創造した。『あの音』である。みな真似た。

アナログ時代に可能な限りの取り組みを、スタジオでもステージでも実践した。
ナイフ突き立てるのはビジュアルだけではない。音楽的必然性もある。
ハモンド揺らして倒すのも同じである。あの破壊音も音楽たりえたのである。

しかも……なんでタッチの全く異なる鍵盤群をあれだけ見事に操るのか。
鍵盤の城を築くプレーヤーは枚挙に暇ないが、キースには及ばない。
天衣無縫とはキースのために神が創った言葉ではないのか。

この天才性が類似しているプレーヤー、私は一人しか思いつかない。
ピート・タウンゼント。音楽へのアプローチと『ロック』本質への迫り方が同じだ。
若い頃、この2人がバンド組んでたらどうなったのだろう。他のメンツいらないかも。

うー、とりとめがなくなってしまった。いずれにしろロックキーボード永遠のNo.1。
どこかの大学でやったライブ映像と、ファーストアルバムが私のオススメ。
全鍵盤弾き、黙祷してやってください。神は本来在るべき場所へお帰りになりました。




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