Nicotto Town



硬派音楽マニアと古のニューミュージック


ここでいう硬派とは古典/前衛音楽および反体制ロック、メインストリームジャズかな。
ニューミュージックやテクノは70年代に目の敵にされた代表的被差別音楽です。
今考えてみると、あーバカで狭量な連中が居たねー、の一言で済むのですけどね。

幼いころはあれやこれやが家で鳴っていた。映画音楽やダンス音楽にスウィング、
ディズニーや童謡、クラシック。ポピュラーはラジオから流れる程度でした。
隣のお姉さんが習っているピアノの音もしょっちゅう聞こえてくる。それが原体験。

ラジオ手に入れてビートルズやロック、進駐軍放送、クラシック、ジャズを手当たり次第に。
ギターが我が家にやってきたことで邪道音楽への傾斜が決定、ロックとジャズ中心に。
でも和製ポップスや洋モノも、特に毛嫌いせず聴いていたはずです。

学校にエレキは持ち込めないのでフォークギターを手に入れる。フォークも聴き始める。
ロックとジャズからは少々「下」に見られてたけど、気に入るものが山ほどあった。
このあたりからか、ニューミュージックを商業音楽の権化として蔑視しはじめたのは。

ニューミュージックなんぞ聴くのは軟弱だという風潮があった。仮想敵ですね。
ユーミンとオフコースが双璧でしょうか。矢沢永吉を嫌う人はいなかった。
バンドを始める頃でしたので、こうした音楽は歯牙にもかけないという態度を取っていた。

……さて。実はユーミンやオフコースの曲に結構イイと思うものはあった。
キャロルと矢沢永吉は非常に嫌いだった。あまり人には、特に先輩筋にはいえない。
このころ山下洋輔の雑文に出会った。彼もオフコースが好きらしく、皆に笑われたらしい。

うーん、でもねー、結構勇気がいるのよカミングアウトするのは。そこで理論武装する。
ユーミンを聴く理論武装は割と簡単であった。米国腕利き職業音楽家の影響を受けた、
国内の凄腕ミュージシャンの演奏から学ぶところが多いのだ、とかナントカカントカ。

オフコースが……難しかった。やむを得ず、人のせいにした。責任転嫁は大切だ。
付き合いのあった一つ下の女の子がコアなオフコースのファンだったのが幸いした。
それで仕方なく聴いているのである。あー情けない。

こういう、音楽嗜好への偏見と蔑視は今でも残ってます。主にビジネス的理由ですね。
20代半ばから国内前衛系の方と接触する機会があった。うーん、選民思想強い。
独創性溢れる進歩的な音楽を演ってて大好きだけど、一緒に音楽の話ができない。

出自がジャズの人に目立ったので、ロック系人脈の方に流れることになった。
こちらにも純血気風はあるが、タマーに私みたいな雑食性のヤツに出会う。
フィルモアのキースのエレピ、ブッ飛んでるよね。あ、松田聖子のキャンディ買った?

私はロック屋からジャズっぽさ、ジャズ屋からはポップさを指摘されるヘボ演奏家。
商業音楽、特にニューミュージックから影響された音楽的語彙によるものでしょう。
今ではなんの気負いもなく、ニューミュージックを聴ける自分を確立できて、ホッ。

ユーミンやオフコースの歌詞は大人向けだ、という山下洋輔の指摘がある。
リアルタイムで聴いたノスタルジーという意味ではなく、戻らぬ若き日への追想として。
これは誠に卓見であると思う私なのです。知命や耳順から聴くニューミュージック。

ユーミンの好きな曲を適当に並べて終わりにしましょう。
和声とアレンジに焦点が当たりやすい彼女の作品、私には詩と歌い方が魅力です。
買ってないアルバムもたくさんあるし近年は未聴のものも多い。古いのばかりです。

・PEARL PIERCE (こういう想いを 女性にさせたいと考える不謹慎)

・78 (ミステリアスな世界に なぜか上田正樹のソウルボイスが似合う)

・きっと言える (転調の連続に驚き 裏声で最後まで歌いたくなる曲)

・雨の街を (誰か優しく~♪ のくだりで声を合わせて絶叫する)

・14番目の月 (女性に対して 親父ジョークを連発するのは この曲が悪い)

・埠頭を渡る風 (134号線で この曲が流れたら アクセルを踏むしかない)

・心のまま (船が女性で 男が港 考え方が新鮮)

・ベルベットイースター (ランラランと散歩に出て戻らぬ永遠の少女性)

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2016/12/23 13:12
>ヘルミーナさん

高みを目指す鑑賞を志向するうちに、ありふれた物を楽しめるようになった、という経験が私には複数ございます。
私小説の極北みたいな煮詰まったものばかり読んでたら、嫌いだった通俗作家の随筆が妙に面白くなったとか。
著名な高級楽器に触れる時期が続くうち、昔の安い楽器が格好良く見えるようになったとか(コレは別かも)。

そこで「低俗/通俗」というのが自分の偏見だったと気づくこと多々。あ、柳宋悦とは異なる意味で、です。
新たな光を当てて美を再発見するのではなく、もともとガラクタって『美』じゃないか、って思うようになりました。
花が美しい、というわけではなく、美しい花があるのです、という思想と似てるかも、と思っております。

オフコース、それとチューリップ、はちみつぱいあたりも好きだと広言しにくかったですね(アリスは苦手)。
チューリップの『魔法の黄色い靴』『青春の影』、はちみつぱいの『センチメンタル通り』……今聴いてもイイと思います。
なお私が歌舞音曲や芸能に傾斜しているのは、親族一同どこか道楽者であることと関連しているようです。
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2016/12/23 11:23
あはは、責任転嫁云々で笑ってしまいました。
わたしは意外かもですがストレート・アヘッドなロックがそんなに好きじゃありません。
だから後追いなんですが、ストレート・アヘッドなロックを解体してゆくようなものが好きなんです。
けっこう小さいときからバッハやモーツァルト、坂本龍一を堪能していたせいもあるのかもですが。

ちなみに家族で、音楽を好きな人間はひとりもおらず、というか家庭内では音楽を聴くことが、
悪いかのような雰囲気で、それに逆らう感じで、どんどん音楽の完成度、高みへと、
のぼりつめてゆく感じだったのです。

で、数年前に、ナイアガラ・トライアングルだの大瀧詠一ソロを聴いていいなと思ったときに、
丸くなったもんだと思いましたw

ベルベット・イースター、わたしも好きな曲です。

オフコースは、Logic Systemのカバーした"I Love You"がいいなと思ったので、
案外合っているのかも!?

確かに追憶ですね。凄く山下洋輔の指摘がわかります。



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