Nicotto Town



瞑想系プログレに罪はないが



『プログレ』に分類される音楽にも好きなのは山ほどあるのです。
でも苦手な系統があって、代表的なのが瞑想系と呼ばれる一派。
彼らに罪はないんですが、瞑想→オクスリ→新興宗教……と連想しちゃうの。

クラウス・シュルツェ、タンジェリン・ドリーム、ポポル・ヴフあたりは、
長髪に無精髭、生成りのインド綿を天然染料で染めた地味派手なボロ服、
眼球が小刻みに振動し落ち着きなく早口で喋る長身男というイメージとカブる。

70年代、ヒッピーコミューンとガイア理論、環境保護、文明忌避、自然食志向、
こうした方向に走った人たちが、曼荼羅張った自室に線香炊き込め聴くのが、
だいたいジャーマンの瞑想系プログレだったんですよ。どうも私は苦手でして。

当時は日本のロック、前衛ジャズ、英プログレッシブロック、電子音楽、
雅楽、戦前の黒人ブルース、モーツァルト等を節操なく聴いてたので、
思想的にコアな方向には同調できなかったんですね。未だに忌避感が強いです。

日本でもファーイーストファミリーバンド、喜多郎、ツトムヤマシタ等、
瞑想系の影響が強いバンドはありましたが、これも聴かなかった。
一時期シンセ音全般が嫌いになり、そのせいでテクノ音楽を敬遠し軽蔑した。

ゴブリン等のバンドがオカルト系映画のサントラ手がけたのも嫌いだった。
もともと電子音もシンセもシーケンスフレーズも好きだったのに、ね?
三十路あたりまで、この偏見はなかなか抜けなかったです。

その後、あるヨガ団体の特集をテレビで見たら、瞑想で使っていたのが案の定、
上記の瞑想系バンドのアルバムだったんですが、このあたりで考えが変わった。
新興宗教とタンジェリンドリームや喜多郎結びつけるのは短絡的過ぎる。

60年代、手に入れた電子工作実験キットでよく作った回路の一つは、
トランジスタとコンデンサ使った原始的な発振器でした。
ピヒョーヴヴヴ、ピヒョーブブブブと繰り返すのに合わせギター弾いてた。

デモ製作用に買った初のドラムマシンはローランドの割と有名なやつでした。
これで自作曲のラフ作って聞かせるとドラマーが毎回嫌な顔をした。
「曲のイメージが固定しちゃってやりづらい」。なかなか示唆に富む発言です。

BPM固定して同じ音色で機械的に(機械だしね!)繰り返されるシークエンス、
肉体志向の音楽家とはある意味相性が悪すぎる。支配性が強すぎるんだ。
こういうことに気づきながら、後のドラムンベース/トランスを理解していく。

その頃から電子音楽やシンセ音楽、テクノ、ミニマルや無調を聴き直すわけです。
90年代ってのは小室哲哉風サウンドが世に溢れてたので辟易してましたが、
あれもトランスですね。瞑想系プログレを正しく継承してるのかな。

肉体性と即興性を保ちつつシーケンスやトランス要素を取り入れられんかな。
サンプリング&ホールド(現在のルーパーという機械)を演奏に取り入れ、
数年活動しました。共演者、聴衆からの評判も悪くはなかった。

この頃壁にぶち当たる。即興が楽しくない、自分の音から歓びが得られない。
半年悩み、ユニット解散し、色々聴いてシーケンス/反復の意味を問い直した。
最終的に、ジャズのクリシェ(常套句)や延々と続くリフにヒントを得ます。

パットマルティーノというギター弾きの名曲『Sunny』ってのがありまして、
これの山場は2コーラス以上続く同音形の執拗な繰り返し。でも高揚する。
灰野敬二が当時ジョンソーンプロデュースで出したスタジオ盤にも感銘を受けた。

瞑想と高揚は相容れぬ、というのが私なりの結論なんでしょう。
パーカーの『Now's the time』の素っ頓狂な繰り返しも良さが分かるようになった。
私のCD棚に瞑想系が増える望みはなさそうです。でもいいの。いいのです。

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2020/12/12 18:14
>アベイユさん

ご無沙汰してます。エレクトーンの音が苦手という話、純粋に興味深いです(機材マニアなので)。
昔の代表的なエレクトーンの音は、独特のアタックと宙を漂い続ける持続する高域が特徴でしょうか?
アナログシンセやエレピと機構が違ってるでしでしょうね。

親知らずが痛んで歯医者に通ったころ、ヒーリング系のインストばかり流してて、
それがどうにも耐えられず、晩秋の寒い時期にも関わらず外で順番待ちしたことがあります。
耐えられない音域とか音色ってのは、誰にも必ずあるものだと思いますです。
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2020/12/12 14:14
こんにちは
私もタンジェリンはダメなのです
なんて言うのかな音がダメ… 聴いていると気分が悪くなって来ますT_T
昔 文通していた名古屋の友達が「エドガー・フローゼのスタントマンが良いよ」と言っていたのでレコードを買って聴いたのですがダメでした
ジャンミッシェルジャールは好きなんですが どうもあのシンセの音がダメみたいです

ヤマハのお店に10年ちょっといましたがエレクトーンの音も嫌いで(聴きすぎたのもあると思うけれど)大好きなキース・エマーソンでさえ 彼がエレクトーンを使っていた頃のレコードも好きになれませんでした
今は普通に聴けますが^^

昔のエレクトーンの音はピアノと違って波形が純粋なため長時間聴いていると気分が悪くなったのだそうです
今はいろいろな波形を混ぜて作っているので大丈夫だと思うのですが 当時はお隣の人がエレクトーンの練習を始めると散歩に出かけるって人がいました

そう言えば瞑想系の音楽を整形外科のリハビリ室でかけてある所がありました
嫌な感じはしなかったのですが施術をしてある看護師さんは 飽きるというか辛くないかなってちょっと思った事があります
普通の人は あまり音に敏感でないのかな?

トランスは下の息子に教えてもらいましたが結構好きです
今は聴きに行かなくなっちゃったけれどplug.dj と言う所で外人さんが良くかけているので聴きに行っていました(中に入ると声をかけられたりする事があって恥ずかしいので外からですが…)
チルアウトの方が聴きやすいので疲れている時はチルアウトの部屋に行ってました^^
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2020/12/11 14:33
>ヘルミーナさん

私も喜多郎は聴きません。ファーイーストファミリーバンドの『地球空洞説』も一度で押入の肥やしに。
ニューエイジ物やウインダムヒル、環境音楽も殆ど聴きません(イーノあたりは例外なんですが)。
タンジェリンの2~4枚目、1960年代の和製SF映画の音楽を思い出しちゃうため聴かないのかも。

70年代初頭のカリフォルニア系SF、ジョンヴァーリィ『残像』あたりにも、
私の苦手な「世界も生き物もみなひとつの地球号乗組員」的ムーブメントは感じられます。
でもこの時代のアメリカSFからホールドマンもティプトリーも出てきてるんですよね……。
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2020/12/11 12:00
こんにちは。
いや~タンジェリン・ドリームなどと喜多郎とは俗っぽさが桁違いだと思います。

わたしもいくつかの例外はあるけれど、小室系の音は受け付けませんでした。
小室系を聴くぐらいなら、なんとエイベックスが出していた、
海外トランス・コンピレーションの「ピュア・トランス」のシリーズがよかったです。

そうそう、これ、

>>ヒッピーコミューンとガイア理論、環境保護、文明忌避、自然食志向、

ここで笑ってしまいました。確かにそんな感じがします。



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