Nicotto Town



あれもこれもポンタだった時代



人生八十年時代というのにちょっと早すぎではないか。
名ドラマー村上ポンタ秀一氏逝去、享年七十。
スタジオがジャズ屋からロック系に切り替わる時代の体現者でした。

ジャズ系ミュージシャンが対応しにくい洋楽系の曲が流行り、
ロック畠のミュージシャンがスタジオで起用されるようになったのは、
GS期終焉~ニューロックへと移る昭和40年代前半でしょう。

40年以上前、ヤマハ系スタジオで知り合ったドラム講師は、
猪俣猛氏の代打をよくやっていると話していました。
こういうことは結構頻繁にあるのだと後に知ることになります。

歌謡曲がポップス/洋楽寄りになっていった1970年代、
ポンタをはじめとしたロック畠のドラマーもシャリコマを膨大にこなします。
『自暴自伝』を読めば、あの曲もこのシングルもポンタだと知り驚くかも。

録音に際し「歌詞が譜面代わりだ」という名言を残してますね。
譜面で指定されていない楽曲の場合、まず最初に歌詞を読むという。
このスタイルに共感するミュージシャンはきっと多いでしょう。

スティーブ・ガッドは1~数回オケをじっと聴いたあと、
ほとんど一発で仕上げていたという逸話もありますが、
ガッドは曲先、ポンタは歌詞先と分類できるかもしれないなぁ。

神保彰を「トニーウイリアムスの猿真似」と批判してた時代もあった。
技術よりも音楽的創造性を尊ぶ姿勢は終生変わらなかったですね。
上手いメンツより面白いメンツを好んだ。そういう逸話も数知れず。

ポンタが文句なしに認めてたドラマーが森山威男。
これも面白い。森山はJazz好きに非常に嫌われてる人ですが、
森山のある種『うた』的(Rock的?)ドラムを誰よりも理解してたのかも。

個人的にはゴーストノート生かしてグルーブする空間的プレイのポンタより、
80年代前半あたりのエイヤッ!という力技プレイが好きです。
盟友大村憲司と組んでた『カミーノ』は渋すぎるので好みではない。

動画にあるのかな……あった。80年代半ばのこと、
NHK教育テレビで、渡辺香津美、グレッグ・リーとのMOBOトリオで
『UNICORN』という香津美の代表曲やってるテイクが見られます。

これ、放映日に見てブッ飛びました。全員超絶技巧ですけど、
3分弱の曲にポンタの余裕の全力(形容矛盾ですが)が詰まってます。
あと、仙波清彦と共に参加していた松岡直也グループも愛聴してます。

こういうの聴いたあとでキャンディーズの『年下の男の子』を聴く。
ああ、やっぱポンタだ。陽水の『氷の世界』『傘がない』も聴く。
70年代、あれもこれもポンタだったのです。黙祷30秒、安らかに。





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