エレキギターのピックアップ選び
- カテゴリ:音楽
- 2021/10/09 14:08:39
10代からジジババまで幅広く集うニコタで、
たまには愛と平和、調和と友情、努力根性勝利を讃える記事を書こう。
愛と平和といえばエレキギター、というわけでピックアップの話です。
言うまでもなくエレキギターは木と金属と電気技術からなる総合芸術です。
悪いピックアップってもんはなく、万能のピックアップだって存在しない。
メーカーやプロパーの甘い誘惑に載らないよう、自分の耳で感じましょ。
【その一】 低出力の定番ピックアップはとりあえず買っときましょう。
具体名出します。セイモアダンカンの59とSSL-1。迷ったらコレ。
ハムバッカー弾きならバカ高いオールドレプリカ買う前に、
なにはともあれ59をフロントとリアに載せる。断言します。絶対後悔しません。
59の直流抵抗値は低く、出力も弱め。スカッと聴こえるけど、だからイイ。
特にリア、JBとかパーリーゲーツ試す前に、二芯の59を試そう。
できればカバードが好ましい。ルックスじゃなく、音色がより繊細になります。
後々いろんなハムバッカーを買ったとしても、59のセットは無駄にならない。
とにかく使いやすい。レスポールタイプに載せたらできない曲はまず、無い。
しかも安い。セットで16000円ほどです。悩んでたらファーストチョイス。
SSL-1も3個セットで2万しない。セットだと2種類ありますよね?
センターだけ逆巻き逆磁相になってて、ハーフトーンでハムキャンセルになる。
これは……勧めません。ごくふつうの、3個とも同じ磁極のものがよい。
私はセンター逆磁相ですが、これはハムバッカー寄りのフェイズトーン。
音が引っ込み気味になるので、いわゆるハーフトーンとは異なるんです。
だから同磁相にしましょう。ノイズの件は別に対策するほうがよいです。
SSL-1もまあ、ストラトだよねいかにも、という無難な音です。
でも初心者ギターについてるセラミックPUとは全然違うし、
国産中級品に載ってるGotoh製だろうシングルよりも断然、枯れた個性がある。
59とSSL-1、やはりこの二つ、現代でも通用する業界標準だと思う。
40年以上カタログ落ちしない理由がそこにあります。名機の証。
ジミーペイジでもカールトンでも、クラプトンでもブラックモアでもイケますぜ。
【その二】 ショップで標準的高さにセッティングしてもらおう。
マトモな大手のショップにしてください。個人工房は今一つ癖があるので。
貴方の楽器に合わせた無難な高さでセットしてくれることが大切。
フロントがブーミーならボリューム絞り、リアが非力ならマスター上げる。
6本の弦のバランス、どのくらい強く弾くとクランチするか。
ピッキングポジション変えるとどの程度の音色変化があるか。
これらを体感できるまではその高さで弾く。微調整はその後にしましょう。
試すと面白いのは弦の太さ。個人的に59載せたギブソンは009が合うと思う。
ストラトで009と010の違いを試すとかなり面白いでしょう。
太い弦=太い音という先入観がガラガラと崩れるはず。もちろん弾き方も工夫する。
リアピックアップをやたらと上げ弦に近づける人が一部にいます。
出力上がり歪みやすくなり音が太く迫力が出た……という気になるから。
でもダイナミックレンジと拾える音域が狭くなる。ちょっと邪道な方法です。
59でハイゲイン気味の音出そうとするなら、ブースター試すのがお勧め。
いい音の使いやすいブースターが今では沢山市販されてます。
例えばブライアンメイブースター(だったかな?) あれはイイですよ。
【その三】 ピックアップ比較ムック本を一冊買っておこう。
私も数種買ったムック本、各PUの音を比較できるCDがついてます。
スタジオ系ミュージシャンが同じフレーズを弾いてくれてるので、
それを聴いて自分の好みがどういうメーカー/種類か調べると役立つ。
50種以上のピックアップの音が入ってるので、あるときCDプレーヤーで、
ランダムにかけて目を閉じて聴き、メーカー当てる練習をしました。
最初は間違えまくるけど、そのうち覚えます。耳の訓練にオススメ。
自分の音の好みがある程度わかってきたら、スペックを熟読。
好みのピックアップのスペック眺め、類似点を探してみる。
8割は似てると思うけど、2割ほどは驚くこともある。
頑固なアルニコ派の私、あるピックアップのスペック見て土下座しました。
そこそこ名のあるジョーバーデンのS-Deluxってヤツ、セラミックなんです。
しかもしかも、ハムバッカー構造、だけどメチャ良いストラトに聴こえた。
アクティブピックアップを嫌う人は多いんですが、EMGの場合、
ヘヴィロック御用達の機種はともかく、タップできるハムバッカーや、
FMG-SAは十分使える音です。めちゃクリアで実音が強く倍音が独特。
動画やメーカーサイトの音源聴いてもいいけど、一つ大切なこと。
必ずスピーカー、スピーカーから出た音で聴いてくださいね。
貴方がライブで客全員にインナーホン嵌めさせるなら別ですけど。
【その四】 どの時点での出音を大切にするのか決めましょう。
アンプから出る音、マイクで拾ったPAの音、ステージ上での音、
アンプから出てハコの客席後方に届くあたりの音……
すべて良い音ってこともあるんでしょうけど、高音成分で大きな違いが出る。
たとえばディマジオのシングル/ハム問わず、ビンテージ系のモデルは、
私の好みよりも音像がデカくてステージ上のアンプの出音はうるさく感じる。
だが客席前方~中央の客から「いつもよりいい音」といわれることが多かった。
ディマジオ製品全般の方向性じゃないかと思ってます。
ダンカンはどちらかというとスモールルーム寄りかしら。
愛用者は少ないがバルトリーニ、これはライン出しなら一番かもしれない。
自分のギターを自分の使い慣れたセッティングにして、
誰かに頼んで弾いてもらい、客席のあちこちで聴くと役立ちます。
もちろんアンプが変われば出音も変わる、言わずもがなのこと。
【その五】 載せ替えるより、塔載ギターを買うほうが……
ギタリストの宿命、本数無限に増える病には理由があります。
オールドPAFをストラトのリアに載せたところで、それはやはりストラトの音。
6万円で買える中古の国産レスポールのほうがよほどレスポールらしく聴こえる、
交換用ピックアップにあまり多くを期待しても裏切られるだけです。
ギブソンのP90、すごく好きな音ですが、あれを載せようとは思わない。
ジュニアやスペシャルのボディと一緒になってるから「あの音」なんです。
フェンダージャガー/ジャズマスター/ムスタングも同じです。
ピックアップがギターの音色に占める割合は、おそらく数割にすぎません。
だから「いい音!」と思ったら……そのギター買うほうが早いんですよね。
事情がちょっと違うのは、私みたいな面倒くさがりのコンポギター弾き。
あらゆるとまでは言いませんが、幅広い音をそれなりに創れるようにしたい。
だからハムバッカーはタップできるものにしたいし、センターも欲しい。
コンポ系でHSHかSSHかというのは悩みどころですが、
コンテンポラリー的サウンドへの対応力もある程度欲しいのなら、
フロントも四芯ハムバッカーにしておくほうが音創りは楽でしょう。
うわ、3000字が近い。今回はここまで。