Nicotto Town



低評価ガイド本への好感


しばらく前に買ったクラシックのガイド本を楽しんでいます。
文春新書『クラシックCDの名盤』1999年刊行。
現在売ってるのは9年後に出た改訂版で、私のは旧版。

名曲の決定盤を3人の専門家が選ぶ形式です。
フルヴェンやワルターの名が頻繁に現れる。こりゃ買いだな。
そう思い購入し通勤の合間に読む。共著者は1930、31、62年生の3名。

大手のレヴューを覗くと、やはり批判が一定数ある。
できるだけ録音の新しい、音質の良いものをというニーズがあるんでしょう。
以前買ったピアニスト紹介本はそういうつくりだったが、非常にツマラナかった。

趣味や道楽というのは、見識という名の偏見や蔑視に満ちてこそ面白い。
高齢者二人の文章にそれが濃厚で誠に気持ちいい。昭和のクラシック受容だ。
いったいレコードを何万枚聴き、リサイタルに何百回足を運んだのか。

道楽をきわめた分限者どもの発言だからこそ、説得力が生まれる。
戦前・戦中に録音されたものも頻繁に紹介される。そうなんだよねー。
時代と共に、身体で覚えた西洋音楽の素晴らしさは揺るがないのだろう。

ベートーヴェンの交響曲はトスカニーニ、ワルター、フルヴェン中心。
ピアノソナタはみなバックハウスを第一に挙げている。
クラシックに期待するものが劇的なドラマと熱情だった時代ですかね。

現代的解釈の先祖である、熱量を抑えた淡々とした演奏の名も出るが、
けっきょく往年の巨匠がズラリと並ぶ。そうそう、コレが好きなの。
自分の愛する西洋古典音楽はこうなんだよ!という独断の数々が佳い。

巻末に各人の聴取システムが並んでいる。SN比もf特も一切無視した、
好みの音に寄せていこうという強固な意志で選ばれたマニア機材が並ぶ。
上はトロく下は濁っても中域の艶を偏愛、何が悪い。尊敬に値する。

ほんのちょっと、最新型のデジタル系音源・機材に浮気しかけてたが、
迷いが吹っ切れた。古い録音をアナログ機材で聴いて楽しきゃいいんだ。
まずクナツパーツブッシュのワーグナーを手に入れてみよう。

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