せっかく考えたので月の曲を10曲。
- カテゴリ:音楽
- 2025/11/07 20:50:59
スーパームーン当日はあいにくの天気だったけど、昨晩はよく見えた。
確かにデカい。裸眼で見ると乱視のせいでよけいに明るい。
燦燦と降り注ぐ光という誤った表現を使いたいくらいでした。
さて、月の曲には定番が山ほどありますね。
ムーンライトセレナーデ、ムーンリバー、フライミートゥザムーン……
ジャズだと探す気にならないくらいタークサン、名演も山ほど。
ロックやポップスだとマイナー系が多い気がするが、長調の名曲もある。
今回は思いついた順に挙げてみます。ジャンルも様々ですが、
昨夜の月を見ながら脳内で流れるのは、だいたいこのあたりなので。
1.ヴァーモントの月(ジョニー・スミス)
まずはコレ。正統派ジャズギターの教科書的名手、ジョニースミスと、
スタンゲッツが共演してるアルバムのヤツです。音色もお月様感横溢。
明るく温かい月光を浴びながら海辺に佇む気分がイイでしょ。
2.月が射す夜(風)
日本のスティーリーダン(言い過ぎか)、フォークデュオの『風』の曲。
ラストアルバムの1曲目、伊勢正三作のミッドナイトクルージングソング。
これも海辺を走りながら聴きたい。夜、月が見えるとすぐ口ずさむ。
3.ムーンチャイルド(キング・クリムゾン)
世代ですね。月というとフロイドのアルバムか、この曲を思い出す。
こちらは森や林の樹間に高くのぞく月に似合う感じですね。
月から妖精が降りてくる場合、この曲を流しながら現れてほしいなぁ。
4.ハウ・ハイ・ザ・ムーン(メリー・フォード&レス・ポール)
エラ・フィッジェラルドの名唱が人気ですが、私はこちらがスキ。
メリーフォードのステキな歌唱にレスポールの変幻自在な神業、
聴くと体が揺れ始めスウィング気味に夜の街を歩きたくなること請け合い。
5.MOON(レベッカ)
NOKKO、好きなんです。この曲も素晴らしいパフォーマンス。
バンド内で作られた戦略的イメージに合わせようと必死な彼女の、
ひたむきな姿勢が数々の曲を名曲にした。詩も痛くてイイですよねー。
6.ムーンビーチの砂の上(カルメン・マキ/忌野清志郎)
清志郎が参加したことで知られているマキ様の名曲の一つ。
夕暮れに134号線を走っていて、若い二人を見かけると思う。
もう少し長居して、暗くなるころ波打ち際を歩きなよ、と。
7.ファイブ・ムーンズ(イアン・ギラン)
趣味に走ろう。ギランがプログレっぽかったころのアルバムから。
このアルバム、ジャケはダサかったけど楽曲は粒ぞろいの名作で、
中でもこの曲は一聴の価値あり。こういう歌い方もできたんですよ、彼。
8.オー・ムーン(シーナ&ロケッツ)
佳い曲でしょ! 月の妖しさというものを見事にまとめてる。
晩年のロッククイーン的シーナさんの魅力とは一線を画し、
鮎川さんのベターハーフとしての鮎川悦子さんの姿を思い浮かべる。
9.ムーンシャイン(フリー)
ブリティッシュの誇り、フリーの不世出の一曲。暗い。オバケ出そう。
スタジオテイクも長尺で壮絶だけど、ライブテイクはそれを上回る。
4人のテンションに、お客さんは金縛りにあってたんじゃないだろうか。
10.月がとっても青いから(菅原都々子)
どこか古賀メロディーを思わせるアレンジが気になっていたのですが、
この人、古賀政男の養女だったと知って納得。
都はるみの歌唱にも影響を与えたんじゃないかしら。
……私にしてはまともな選曲ですね。月は狂気の象徴でもある。
ではとっておきを1曲。動画サイトにはたぶん無いでしょう。
アルバム買って聴いてね。選んだ理由はジャケット見れば分かる。
☆湯ヶ島吟行(あぶらだこ)
伝説的名作しか出さない真にプログレッシブなバンド、あぶらだこ。
20世紀最後の年に出た、通称『月盤』の3曲目、2分弱。
満月の表面をじっと見てると、この曲が流れる。
【長ーい蛇足】あぶらだこをニコタの最果てで弁護する。
Amazonのレビュー見て愕然。酷評といえるものが散見されますね。
もちろん音楽は聴き手の嗜好が全てでして、感想を書くのは良いけど、
パンクシーンから生まれた異形の天才集団を完全否定されるとクヤシイ。
大雑把にいうと、ヘンリーカウ等のRIO周辺の音楽、
日本の60年代後半からの前衛/JAZZ/ROCKシーン、
イエスやジェントルジャイアント等の変態変拍子プログレを消化して……
『はっぴぃえんど』とは全く別のベクトルで日本語ロックを追求したバンド。
リーダーでありボーカルの長谷川裕倫の超絶ボーカルと歌詞も重要だが、
共にクリエイトしたメンツも全員、他にない音楽を送り出し続けた。
歌詞に関してはダダイズムやシュールレアリズムの文脈で捉えたい。
AREAのデメトリオ・ストラトスやVDGGのピーターハミル、
彼らの詩の凄さに圧倒されるなら、ヒロトモの詩にも痺れるでしょう。
3ピースギターバンドとしての演奏力も壮絶。1stは名手、吉田達也がDrだが、
他の盤でも全て、ドラマー含め、魂の入った凄い音を出してます。
どのアルバムでも、手を抜いた『オシゴト』感は皆無の純正ROCK。
奇声による絶叫ひとつとっても、戸川純、ヒカシュー、山塚アイ、
ゲロゲリゲゲゲ、もちろん灰野敬二や非常階段といった偉人と遜色なし(断言)。
パンクという音楽が本来持たねばならなかった『芸術性』を具現化してる。
ヒロトモの声は阿部薫、高柳昌行、高木元輝、沖至、中村誠一や坂田明、
林栄一、近藤直司、片山広明……前衛ジャズマンの生音と同質のもの。
これに気づくと一般のボーカリストが殆ど面白くなくなってしまう。
更に列挙するなら、アビーリンカーンやオノヨーコ、パティウォータース、
シェリーハーシュやディアマンダギャラス、メレディスモンク等の、
前衛女神たちと同列にいることすら分かってしまうでしょう。
……ふぅ、熱くなりすぎた。端的に言うならばですね、
「おれたちは他の誰とも違うのだ」という当たり前の事実を、
80年代から延々とやり続けた国宝バンドです(2009年に活動休止)。
通称『木盤』『青盤』『亀盤』『釣り盤』『月盤』、全て聖典。
21世紀に出した『穴盤』『舟盤』は上記5枚の後に聴くことをお勧め。
おそらく9.11の影響で、ヒロトモの歌詞の方向性が変化してるので。
活動休止後、ヒロトモは『長谷川静男』等でD・ストラトス的方向に進んでる。
巻上公一が世界的な評価を受けているのはご存じでしょう。
長谷川裕倫は少なくとも彼に比肩する、日本の偉大な音楽家です。
なおご忠告。スマホやパソコン、イヤホンといったデバイスはご遠慮下さい。
CD買ってオーディオ揃え、スピーカーから大音量で聴かねばなりませぬ。
2mの位置で70db以上を推奨します。これがROCK、それがあぶらだこ。
























