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ジャズとロックにおけるミドル級


主流の音楽を演奏していて、それなりに知名度もあるからB級ではない。
でもビッグネームみたいに誰でも聴くタイプの音楽でもない。
こうした音楽をボクシングに譬え『ミドル級』と言った人がいる。名言です。

各種の発掘音楽がマニア向けの一途を辿っているため、B級という用語は、
昔に比べ遥かにマニアックかつ知名度の低い音楽家やバンドに使われてます。
過去のコンテンツを使ったカシコい商売なんでしょうけど、少々行きすぎでは?

ジャズでもロックでも、メジャーなアーティストを聴き飽きた時に、
気分を変えるため、肩ひじ張らずに聴けるタイプの音楽、そんな盤を、
つれづれなるままに挙げてまいりましょう。ああ楽しい。

【1】『Another Workout』ハンク・モブレー

レナード・フェザーは彼をテナーのミドル級チャンピオンと呼びました。
ほんとうに心地よい。この人のアルバムはどれも絶妙なさじ加減ですね。
みんなが大好きなジャズのオイシイところがたっぷり、しかも重くない。

【2】『幻想飛行』ボストン

メチャ売れたアルバムですが、完成度はすさまじく高く、でも聴きやすい。
ジャーニーやTOTO等のAOR系に分類してもよいけど、メッセージは皆無。
次作『ドント・ルック・バック』と合わせて、疲れた時の清涼剤。

【3】『Guitar and the wind』バリー・ガルブレイス

サイドマンとしての仕事が多かったジャズギタリスト。
このアルバムはけっこう貶されてますけど、いやいや、こういうのでイイの。
名手の名演はミドル級には不要。ガルブレイスの人となりを愛しましょう。

【4】『Unlucky Boy』チキン・シャック

土岐英史や山岸潤史のいたバンドじゃないですよ。英国のブルースバンド。
私はリーダーのスタン・ウェッブの声もギターも大好きなのです。
コンパクトな楽曲の多いこのアルバムも、ミドル級のブルースロック。

【5】『Blue Parlan』ホレス・パーラン

ビッグネームとの共演もあるけど、どこかミドル級風味のピアニスト。
ステープルチェイス盤、リズム隊はウィルバーリトルとダニーリッチモンド。
ミンガスやモンクのナンバーを奏でるパーラン、これぞミドル級では。

【6】『愛ある限り』キャプテン&テニール

キャロル・キングやリタ・クーリッジ、カーペンターズ等はA級アーティスト。
当時バカ売れした夫婦デュオ、特にテニールのダミ声っぽい声質が◎。
聴いてて邪魔にならない。ベスト盤のグレイテストヒッツでも宜しい。

【7】『RACCO』古澤良治郎カルテット

錚々たるビッグネームと共演している日本のドラマーですが、
生で観た印象は、軽みやヒューモアのある人柄が滲み出た音世界です。
古澤氏の参加したアルバム≒ライト級、という偏見を持ってるのかも。

【8】『ティーザー』トミー・ボーリン

オクスリで早世した彼が、確かディープパ-プル在籍中に出した1stソロ。
超絶テクニシャンではないが、味のある歌と感覚的ギターは不世出。
インストと歌モノがうまくブレンドされたこの盤は万人にオススメです。

【9】『Good Nature』松風鉱一カルテット

ちょっと反則。リズム隊が森山威男と望月英明でヘヴィー級だけど、
松風氏の分かりやすいドルフィー的演奏と初山博のVibが軽妙なので、
中和されてライト級に落ち着く。でもこれは名盤に入れるべきだな、反省。

【10】『Gazeuse!』Gong

ミニマルフュージョンバンド化した後期ゴングの大傑作です。
ホールズワース先生の神業が全編で炸裂してますが、大変聴きやすい。
コンビニでもパチンコ屋でも聴いたことありますから、ライト級でOK。

正直なところ、全て静聴/熟聴に耐える名盤ばかりだと思います。
ただ私の感覚では、分析的に(お勉強のように)聴くのは似合わない、
心地良さの強い音楽です。自分のミドル級、探すのも楽しいですよ。

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