Nicotto Town



好きな5冊(海外SF長編)

1、虎よ、虎よ! (アルフレッド・ベスター)

世界に見捨てられた男が自分を救済し、時空を超えた復讐を成就させる凄い物語。
映像化の話も何度か出たそうですが、それはやめてほしい。幻滅必至。
ガジェットに悪趣味な冗談、バカバカしいアイデアと不条理とスピード、
全てが渾然となって結末のカタルシスが訪れ涙してしまう、正に奇跡の作品です。
『コンピューター・コネクション』や『ゴーレム100』の前にぜひこの稀代の傑作を。

2、ストーカー (ストルガツキー兄弟)

異文明が短期間地球に接触、その地域はゾーンと呼ばれる。
そこには不可解かつ貴重なテクノロジーが忘れ物のように残されており、
命がけでその回収にいくアウトロー達の総称がストーカー。
ソ連SFを代表する作品、未知と遭遇したときの対処法が欧米と全く異なるのが魅力。
マクシム・カンメラーが主人公の『蟻塚の中のかぶと虫』『波が風を消す』も必読!

3、ニムロデ狩り (チャールズ・シェフィールド)

人類を含む4種の知的生命体が緩やかに交流する未来が舞台。
人類の開発した深宇宙探査用の人工機械が暴走し、科学者を殺戮して脱走。
知的生命体は各種族から一人ずつ、4人一組のチームを作り追跡を始めるが……。
重層的なプロットが魅力の長編、予想を大幅に裏切るとんでもない結末に感動。
シェフィールドには『マイ・ブラザーズ・キーパー』『マッカンドリュー航宙記』など、
人間を魅力的に描いた良作がたくさんあり、好きな作家です。

4、キャッチワールド (クリス・ボイス)

謎の物体が地球各地に飛来、生き残った人類は敵母星に復讐艦隊を送り込む。
こう書くと典型的スペースオペラですが、これはSF界屈指の怪作です。
人格シミュレーション、人工知性、黒魔術に深層心理分析に武士道に……
初めて読んだときワケの分からなさにぶっ飛びました。哲学マンガとも言えるかも。
私はラストを大団円と捉えていますが、ぜひご自身でご判断のほどを。

5、渚にて (ネビル・シュート)

全面核戦争で死の灰が北半球一面を覆い、最後に残ったのはオーストラリア。
不可避の滅亡を前にして最後の数か月を過ごす二組の男女を描いたドラマです。
ご都合主義の綺麗事、似非ヒューマニズムと叩かれることもある作品ですが、
人間性への限りない信頼をベースとした人物像にノックアウトされました。
悲恋物としても凄まじい完成度です(映画は少々イメージと違うかな)。
なお、井上勇氏が逐語的に訳した古い版のほうが好みです。

あくまで思いつき順不同。最愛のポーランドの作家に関しては日を改めて。




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