Nicotto Town



中間テストの情報流出に関する顛末

半世紀近く前のこと。
「ガリ版」と申します原始的印刷システムがございました。

ロウが一面に塗布された半透明の紙に鉄筆で文字を書くと、そこだけロウが剥がれます。
これを手回しのでっかなローラーに装填し、ハンドルをグルグル回すとアーラ不思議、
鉄筆で削った部分からインクが染みだして印刷できる。文明の利器だ。

使用済みのガリ版原稿には当然印刷物の内容が残ってます。
印刷室に出入りできたのは教諭と許可をもらった生徒のみ。
ある日、私と共に印刷室にいた少女がゴミを捨てる際、テストの原稿を見つけやがった。

この子には付き合い始めて間もない水泳部の彼氏(私の友人)がいた。
中間テストで平均切ると次回の対抗戦に出さないと顧問に脅されている。
何とかしてやりたい、揺れる乙女心、事情を知る私もほだされ持ち出すのを黙認。
その日の夕刻、原稿がヤツの手に渡ったらしい。

さて翌朝、部活の朝練を終えて教室に入った私は頭を抱えました。
あのバカが原稿をクラスに持参、購買部のパン1個で情報を売りまくってるのです。
なんとバカなのでしょう、本番では100点続出。少しはわざと間違えろよオマエラ。
ほどなく芋づる式に検挙されて一網打尽に、クラス全員再テスト。
バカを私の隣に座らせ、解答用紙交換作戦で何とか乗り切りました。

無事対抗戦に出場できたバカは好成績を残し男を上げ、
件の彼女と夏に一泊旅行に出かけやがった。ふざけんな14歳。
帰ってきた二人に呼び出され、世話になった礼として土産を貰った。
あの幸せそうな笑顔を思い出すだけで……懐かしくも腹が立つのです。

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2014/06/04 08:37
>レン姫さん

昔の学生って、ダメなヤツを何とかみんなで助けたいって気持ちが強かったのかも。
優等生が解答用紙をさっさと埋め、体調不良を訴えて教師を保健室に誘導したり、
窓際の生徒が監督の目をひきつけたり、鉛筆で机を叩く音の数で記号を伝えたり……あらゆる手を使った。
男女仲の良いクラスばかりだったからでしょう、「いい子」の女の子も嬉々として加担してくれた。

先生にも寛容な人が多かった。こんなバカ作戦、大人にバレないわけないですものね。
「アイツは弱いヤツや後輩の面倒見がいいから何とかしてやれよ」とか、
「あの子、前の学校と教科書違って困ってるぞ」とかの情報が時々おりてくる。
数々の不正を黙認してくださった先生方は、やはり『恩師』と呼ぶにふさわしいのでしょう。


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2014/06/04 08:18
>オヤジさん

未成年カップルの外泊に友人が尽力するラノベ、多々ありますよね。
あれを読むと昔を思い出しニコニコしてしまいます。
この2人の旅行実現にも悪友数名と協力したのです。

「ガリを切る」作業とかインクの匂いとか、まれに夢に出てきます。
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2014/06/04 07:09
解答用紙交換作戦は父もやってました(書く側で)
今は教師の見回りがあるのでできないはず?
どちらにしてもうらやましい話です。
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2014/06/04 05:59
学園もののライトノベルに使えそうなネタですね
ガリ版はプリンターあたりに置き換えが必要ですが
鉄筆とガリ版、なつかしいです^^



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