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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(32)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|五 (2)

最後に現實を殊さら其の隱れた方面に穿ち入り、野獸性、暗黒面を曝露したゾラ。モウパッサン等には、單に學問界の科學熱に動かされて的確なものを描いたといふ以上、他の意義があつたらうと察する。それは彼等獨自の人生觀で、暗黒面は人生から掩蔽し去らるべきもの...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(31)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|五 (1)

        五

外形上の自然主義が抒情的主觀を斥け情緒的主観を斥けるのは、此等のものが皆自然の眞を打破し若しくは蔽遮するからだといふ。さらば自然の眞とは何であるか。自然主義の内容論目的論は此所から始まる。
曰はく社會問題、曰はく科學、曰はく...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(30)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|四 (2)

されば殘るところは其の知的事象を歩々成るべく實驗に近似して自然と思はれる方式に展開せしめ、一々相當の情緒の反應し來たつて事象と相即するを期し、さて斯くの如き知情融會の第三段境を其のまゝ忠實に表出しやうとする。客觀的藝術の極處である。直接間接の實驗...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(29)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|四 (1)

        四

吾人は審美的主客觀の意味を數へて、主觀といふに抒情的、情緒的、情趣的の三を得た。今之れを自然主義が主觀を排するといふ意に照すに、排する所の主觀は抒情的と情緒的との二つであることが知れる。此の派にあつては、抒情的主觀は、其の内...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(28)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (10)

最後には情趣的主觀がある。第四段境たる情趣は本來第三段境の結果として生ずる印象であるから、第三段の客觀的情緒さへ十分に現はれゝば、情趣的印象はおのづからにして伴ひ起こる筈であるが、併し殊さらに此の順序を逆にして、情趣の方から寫さうとする。此の場...

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