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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(7)

■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第二(1)

     第二

彼れは徐に手を擧げ遙かに白む地平線のあたりを指しながら、
「見られよ、東海の客。我れ足下のために古今を示すべし。かしこ天と水と相迫るところに、かすかに髪の如き一道の明るみあるを見たまはずや。天地いかに晦朦の夜なりとも、此の一線の...

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■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(6)

■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第一(6)

此の時夜はすでに更けたり。我が立つ上甲板の端のたもとあたりは唯闇くして人も居らず。耳を欹つれば、何れの岩に住むざれ貝が、何れの岸の藻の花に便り送るか、四方ただひた/\と浪のさゞめきのみ聞こゆ。
と見るに、山腹なるなるラワ゛の火よりか拔け出でたる、...

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■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(5)

■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第一(5)

されば、我がオクスフオドのキープルカレッヂに此の繪を見し夜は、我はまた眞理の明燭を片手に掲げ、紫微の御門の扉を敲いて「あはれ万能造物の御神、世は待對矛盾の塊にして、其所やがて調和を要し、節制を要し、努力を要し、道徳を要し、苦痛を要するの根原たり、...

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■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(4)

■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第一(4)

人の命といふもの、譬へば月の光を葉頭の一滴露に溶かして、永劫不斷と引くが如く、此の時始て、妙へにして見るべからざる一縷の流れとなりて神の指頭よりアダムの指頭に通い來たり。かしこ羅馬の法王殿の天井は、ミケランゼロが絶代の筆と稱して、此の崇高なる詩歌...

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■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(3)

■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第一(3)

我等もまた命を造化に亨け、熱を御身と分かちて、此の熱、此の命を保たんが爲めに、仁義の縛め、博愛の繩、幾その羈絆に身をもだへしことか。あゝ、されども此の羈絆は遂に斷つべからず、一たび之を斷つときは、軌道よりすべりし星の如く、一切の人見る/\溶け去つ...

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