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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(10)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (7)

一字一句皆洗練せられて、是れだけづゝ別々に味へば、含んでゐたいやうな甘味がある。けれども詮ずるに作者がこしらへて言はせた言葉といふ埓をば破り得ない。見物を前に据えて置いて、さてうまい事を言つて見せるぞと舞臺に見えを切つた時の臺詞である。それだけの...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(9)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (6)

又は『金色夜叉』で例の熱海の海岸のくだり、貫一の詞の
吁、みいさん、かうして二人が一處に居るのも今夜ぎりだ。お前が僕の介抱をしてくれるのも今夜ぎり、僕がお前に物を言ふのも今夜ぎりだよ。一月十七日、みいさん、善く覺えてお置き。來年の今月今夜は、貫一...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(8)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (5)

『多情多恨』の中で最もおもしろいと言はれるのは葉山といふ副主人公の通りものと、並はづれてうぶな鷲見柳之助といふ主人公との對照であるが、取り分け第三節のあたりが喝采を博したと記憶する。たとへば柳之助が愛妻を喪つて淋しさに堪えずして、葉山をたづねた會...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(7)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (4)

さらば此等の内容的意義を引き去つて此の二作を見るか。たしかに手だれの作であるからそれ丈としても面白いには相違ない。たゞ同時に作の威嚴が無くなつて、段々普通の娯樂機關に近づく。我等の審美判斷の少なくとも半面の評價が下落する。此の兩作を特に他作から抽...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(6)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (3)

『金色夜叉』は明に一の落想を以て人生の意義の一片を見させやうとする、思想上の印象を覘つた作であらう。而して前者は其の所含の意義があらはな思想で無いだけに、一方からいへば一層多く渾然として自然派的であるが、一方からいへば情緒のうしろに深い背景が無さ...

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