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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(16)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (13)

老爺は大手を擴げて池の周圍をグル/\回りながら、ト、ト、トと鳥を一所に集める。頸の長い牝鷄が一羽、いたづらさうにそちこちと遁げ廻つて何うしても鳥屋へ入らない。老爺は息を切らしながら一生懸命追廻してゐた。そしてやつと入れた。
「さア仕業だ」と監督...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(15)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (12)

又は眞山青果氏の『家鴨飼』の主人公が巡査から立退の説諭を受けて、
「だとつて家鴨は私のものだ」
「誰も家鴨をお前のものでないたア云はんよ、會社は家鴨の背中へ柱は立てない」
と警官は噴出した。
皆ドツと笑つた。老爺は額越しにヂロリ皆の顔を見た。(...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(14)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (11)

「さうさ、僕は救世軍にでも入りたいな。心にも無いことを書いて讀者の御機嫌を取る雜誌稼業よりや、あの方が面白いに違ひない。あの男は欠伸をしないで日を送つてるんだ。生きてらあ」
「はゝゝ」と織田は大口開けて勢無く笑つて「僕は青年が浅薄な説教なんかし...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(13)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (10)

今最近時の佳作の中で、便宜のため『早稲田文學』に載つたものゝ一二を取り出せば、正宗白鳥氏の『何處へ』の中で、主人公健次と友人織田とが救世軍の説教を聽いた後のところ、健次が
「面白いぢやないか、彼奴は地球のどん底の眞理を自分の口から傳へてると確信...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(12)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (9)

之れを作家の態度覺悟の上から見ると、恰も近時の作風と相反することゝならう。外形の力で内容を増加せんとする態度と、内容以外に一毫も外形の寄與を許すまいとする態度と、筆を執る時の氣持が違ふ。又表面に見えてゐる事柄だけを面白く書かうといふ態度と、其の背...

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