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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に…(6)

■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 二(3)

停車場から新開の道を病院の前に出で町に取りかゝると、もうそこに行き當りがある。廣い四つ辻の眞中《まんなか》にしつらへた噴水《ふんすゐ》はいま樣《やう》ながら、町は何所《どこ》ともなくさつぱりとして優雅の趣を具へてゐる。店の構へ看板の具合などま...

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■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に…(5)

■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 二(2)

ロンドンに出でしより後のシヱークスピーア[#「ヱ」は小文字]、殊にも其の著作ありてより後の彼れは、千の傳記、百の考證よりも、彼れみづからの書こそ最も明白に之れを傳へて居る。『ハムレット』『マクベス』の著者は『ハムレット』『マクベス』の著者とし...

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■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に…(4)

■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 一(4) - 二(1)

と獨り思ひに耽つた旅人《たびゞと》は、翌朝オックスフォードの町を越して、重ねて南へ/\と旅《たび》を續けた。
我れには此の弱《わか》き旅客の名がウヰリアム[#「ヰ」は小文字]、シヱークスピーア[#「ヱ」は小文字]であつたらしく思...

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■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に…(3)

■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 一(3)

うつとりして、目《ま》のあたり其の唄に聞き惚れてゞもゐるかと思はれた時、入口の戸をコン/\と叩く音、メーリーと優しき呼び聲、イエスと輕く答えて、女は立ち去つた。
「あゝ! 戀だ! 戀を求めてロンドンへ行く。あれで人生が濟めば仕合せなものだ。自...

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■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に…(2)

■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 一(2)

椅子をストーヴに近く引き寄せ、手を拱《こまね》いて、默然《もくねん》として燃え立つ火影を見つめゐる、彼の旅人《たびゞと》の面《おもて》は赤く輝いて、額《ひたい》の廣いのが目立つ。
折から靜に扉《と》を押して這入つて來たのは、此の家《や》の娘で...

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