■近代文藝之研究|講話|繪畫談(6)
- カテゴリ: その他
- 2013/08/10 17:57:05
■近代文藝之研究|講話|繪畫談 (6)
然れども其結果は全體の畫面が極大まかに一調子の色でもつて描き出されて居る。近くへ寄つて見ては細々した形ちはなく、離れて見ると全局の上に種々の景色が出て居るといふ面白味になつて來て居る。ラファエル前派の畫でも始めは正直に誠實に、自然を寫すといふのが標榜であつて、...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|講話|繪畫談 (6)
然れども其結果は全體の畫面が極大まかに一調子の色でもつて描き出されて居る。近くへ寄つて見ては細々した形ちはなく、離れて見ると全局の上に種々の景色が出て居るといふ面白味になつて來て居る。ラファエル前派の畫でも始めは正直に誠實に、自然を寫すといふのが標榜であつて、...
■近代文藝之研究|講話|繪畫談 (5)
佛蘭西のアンプレショニズムと、英吉利のラファエル前派とは、種々の點で仝じ運命を有つて居る氣味がある。特に其出立點が一種の寫實主義若しくば自然主義であつて、而して確に其一面をも畫風の中に所有して、而も大體の調子は却て其反對のローマンチシズムとか、理想派とかいふも...
■近代文藝之研究|講話|繪畫談 (4)
日本の繪畫の線の妙味といふものは、多數の歐羅巴人には解つて居ないのが多い。勿論日本の線畫も線のみに餘りに重きを置て見て行くと、始めの中はよいが往々嫌になつて來ることがあります。が兎に角日本の線畫は、畫に生命を認めた上でなければ好い味が消える。然るに西洋の普通の...
■近代文藝之研究|講話|繪畫談 (3)
日本畫の中で歌麿は暫らく措き、北齋があの如く、歐羅巴に歡迎されたのは、曾て誰かも言つて居た如く、主として其畫いて居る題目が、近世の歐羅巴の文藝に通じた特色である所のネチュラリズムと通ずる所のある點であらうと思はれる。即ち寧ろ題目を下層社會若しくば普通に見醜いや...
■近代文藝之研究|講話|繪畫談 (2)
右の内でも就中ホイッスラーが近年に於る英國の大家で、而して日本畫の影響を最も多く受けた人である事は此前回にも一言しましたが、佛國では例のアンプレショニズム(印象派)……特に其印象派から進んで行つた所の新アンプレショニズム若くはポイン...