■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝(69)
- カテゴリ: その他
- 2010/07/06 00:06:46
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第十五(3) - 附記(1)
あゝ我れ論に興湧きて、いたくも夜を更かしたり。今夜はさらば。」
名殘惜しく、袖を引き止めんとするに、姿は早くも失せて、彼方水天の極みに、青赤の雲道虹の如く消ゆると見れば、今まで開いたりし天と水とは再び相迫つて、僅にもとの一髪線の...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第十五(3) - 附記(1)
あゝ我れ論に興湧きて、いたくも夜を更かしたり。今夜はさらば。」
名殘惜しく、袖を引き止めんとするに、姿は早くも失せて、彼方水天の極みに、青赤の雲道虹の如く消ゆると見れば、今まで開いたりし天と水とは再び相迫つて、僅にもとの一髪線の...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第十五(2)
而して文藝が漸く此くの如き域に向かはんとすると共に、全般の思想界また、傾き行く所は宗教にあるか。世人或は未だ意識せずして、さま/″\のものを要求しつゝあることもあらん、而も其の落ちつく所は、宗教を求むるの聲なりしことを發見するの日、...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第十四(6) - 第十五(1)
事は一小部なれども、其事直ちに全人間、否我が全經驗に響きわたりて、人生、運命などいふものに今更の如く頭を回らし來たるの情禁じがたきの謂なり、哲理的より進んで、其の上に悟入あるなり、神秘的より進んで、其の奧に直觀あるなり。之れを...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第十四(5)
されども斯くの如き感情の下に潜める知識は、到底永く無言にして已むべくもあらず。或る場合には、日常道徳の聲となつて善惡の批議を試み、或る場合には科學の聲となつて、眞僞の判斷を下すならん。哲理的文藝は則ち之れを導いて、理趣そのまゝを情の衣に包みたり...
■近代文藝之研究|研究|囚はれたる文藝 第十四(4)
此等の點よりいふも、最も文藝に適したる感情は此基督の精神なり。但し茲に基督教といふは、其の踏襲的意味をいふにはあらず、眞精神を指すなりと。眞精神は可なり。されども、尚ほ之れを基督教と限るが故に、之れに合せざるものは不善となり、不美となりて斥けら...