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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(29)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|四 (1)

        四

吾人は審美的主客觀の意味を數へて、主觀といふに抒情的、情緒的、情趣的の三を得た。今之れを自然主義が主觀を排するといふ意に照すに、排する所の主觀は抒情的と情緒的との二つであることが知れる。此の派にあつては、抒情的主觀は、其の内...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(28)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (10)

最後には情趣的主觀がある。第四段境たる情趣は本來第三段境の結果として生ずる印象であるから、第三段の客觀的情緒さへ十分に現はれゝば、情趣的印象はおのづからにして伴ひ起こる筈であるが、併し殊さらに此の順序を逆にして、情趣の方から寫さうとする。此の場...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(27)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (9)

例へば夫の『萬葉』の行倒れを哀む歌に「家ならば、妹が手まかん、草枕、旅に臥(こや)せる此旅人(たびと)あはれ」とある、末句を哀れむといふ意に取れば、主觀の情が其のまゝ點綴せられ且つ節奏に乗つて流れ出たのである。其の他抒情的な詩歌乃至散文中の抒情句...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(25)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (7)

茲に一種捕捉し難い一般的な感情を經驗するに至る。此の一般的な情、言はゞ事後感情、混合感情とでも解すべき一種の印象を茲で美的情趣(Aesthetic mood)と呼ぶ。印象的情緒である。第四段境と見てもよい。
斯やうに見地を定めて見ると、第一第二の...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(24)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (6)

而して此の第三段境は更に二つに分かれる。情緒的と情趣的ともいはう。情緒的とは前來の説の如く普通種々の情緒が其のまゝ客觀に合した場合で美的情緒(Aesthetic emotion)であるが、情趣的とは、斯くの如き情緒的事象が幾何づゝでも起こつた後ま...

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