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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(23)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (5)

それが第三段になると審美的同情になる。即ち他的とも稱すべく、全く我れを離れて先方と同じ情が我れに起こる。妻子もありながら零落して到頭路傍の行倒れとなつた。當人の心の中は無限の悲哀であらうと普通に察せられる。此の悲哀が傍觀してゐる我等の胸に迫る。此...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(22)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (4)

而して好奇心で立ち止まるなり、急ぎ行き過ぎるなりしながら、さてつく/″\其の行倒れの身の上を思ひやると、哀れになる、又何か深い遺恨でもある者なら善い氣味と思はぬとも限らぬ、つまり同感(シンパシー)若しくは反感(アンチパシー)が起こる。...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(21)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (3)

例へば路傍に性の知れない異體のものが横はつてゐる。先づ斯やうな知的現象が意識の鏡に映じた時、我等ははつと思つて驚き見つめる。我れの是れに對する態度を定めるため先方の正體を見極めんと注意を一時に之れに集める反應である。而してそれが行倒れであつたと知...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(20)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (2)

吾人は論の煩瑣を避けるため茲に或度以上の論據を假定して、審美的主客觀ともいふべきものを極ざつと取り出して見んに、論の順序として先づ心理的主客觀から出立する。即ち吾人の意識内に於いて知的現象は(判斷までを含めて)凡て客觀であるとし、情意的現象は凡て...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(19)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|三 (1)

        三

自然主義論に對する種々の非難の中、先づ外形の純客觀的といふことに關聯して起こる疑問は、之れを作者の心内に求めては、果たして無念無想といふ如きことがあり得るか否かといふ事、また之れを作り上げた物に求めては、果たして全く主觀の交...

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