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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(18)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (15)

如何にも此等が眞實の世相であると感ずると共に、それを本にして眞面目に其の周圍、其の連續、其の奥を想ひまはさしめる人生は味ひの深いものだといふ氣持を起こさせる。たゞ其の事柄だけは面白く見せても、延いて人生の味ひといふ氣持にまで我等を導く必然性の無...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(17)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (14)

更に此等の作が提起する内容について言ふと、『何處へ』は未發展の作であるため周圍が充實してゐないに拘らず、作中の諸性格たとへば主人公や織田や、主人公の父や、乃至降つては博士の妻君や其の夫や、それ/″\のスケッチだけで既に其の周圍もおの...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(16)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (13)

老爺は大手を擴げて池の周圍をグル/\回りながら、ト、ト、トと鳥を一所に集める。頸の長い牝鷄が一羽、いたづらさうにそちこちと遁げ廻つて何うしても鳥屋へ入らない。老爺は息を切らしながら一生懸命追廻してゐた。そしてやつと入れた。
「さア仕業だ」と監督...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(15)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (12)

又は眞山青果氏の『家鴨飼』の主人公が巡査から立退の説諭を受けて、
「だとつて家鴨は私のものだ」
「誰も家鴨をお前のものでないたア云はんよ、會社は家鴨の背中へ柱は立てない」
と警官は噴出した。
皆ドツと笑つた。老爺は額越しにヂロリ皆の顔を見た。(...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(14)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|二 (11)

「さうさ、僕は救世軍にでも入りたいな。心にも無いことを書いて讀者の御機嫌を取る雜誌稼業よりや、あの方が面白いに違ひない。あの男は欠伸をしないで日を送つてるんだ。生きてらあ」
「はゝゝ」と織田は大口開けて勢無く笑つて「僕は青年が浅薄な説教なんかし...

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