■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(1)
- カテゴリ: その他
- 2009/11/22 01:46:08
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|一 (1)
自然主義の價値
一
吾人は此の文によつて上に掲げた自然主義論の後を承けやうと思ふ。彼れが如き文藝上の傾向は結局如何なる意義若しくは價値を有するか。本論の眼目は此の問題を研究するに在る。
顧みて周圍の文壇を見ると、此の問...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|一 (1)
自然主義の價値
一
吾人は此の文によつて上に掲げた自然主義論の後を承けやうと思ふ。彼れが如き文藝上の傾向は結局如何なる意義若しくは價値を有するか。本論の眼目は此の問題を研究するに在る。
顧みて周圍の文壇を見ると、此の問...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (8)
前來の叙述で吾人の自然主義構成論は大體を了へた。たゞ自然主義が後の神秘主義標象主義理想主義等と交渉する次第を説くの餘地が無かつた。また眞といふ自然主義最後の目的が、美學上如何なる地位を占むべきか。自然主義の最後の價値を定むるには、此の上に更に...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (7)
例へばズーダーマン。ハウブトマン。ハルベ等の思ひ切つて寫實的な作『ゾドム』『日の出前』『自由の戀』などを見ても、之れはよく分かる。つまり背景に社會的個人性の全現といふ要求が隱れてゐる。自然主義の二努力は社會を定義し個人を解放するといふことであ...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (6)
ドイツの自然主義については、コーア氏(Coar)の名著『十九世紀ドイツ文學研究』が最も巧みに其の間の消息を説いてゐる。其の要に曰はく、千八百九十年頃の若い文學者等は相率て自然主義に赴き、人生の精確なる寫像といふことを殊に精確といふことに力を入...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (5)
繪畫の印象派は、アカデミー派が構圖に重きを置くに反抗して、専ら色彩に工風を凝らす。色彩は圖柄よりも概して肉感的である。色によつて直に感じを傳へんとする。また彼等は好んで卑近な醜惡な畫題を描く。また人事よりも自然物を多く描く。凡て彼等が自然派た...