■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義(73)
- カテゴリ: その他
- 2009/11/17 15:16:53
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (4)
現實を現實として最も眞に寫さんとするには一切人工虚飾の分子を擺脱するを要する、赤裸々の人間、野性、醜、描いてこゝに至れば、最も眞に近づく、最も痛切である。ゾラの所謂人間の證劵(Document humaine)は斯くして始めて的確に讀まれる。...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (4)
現實を現實として最も眞に寫さんとするには一切人工虚飾の分子を擺脱するを要する、赤裸々の人間、野性、醜、描いてこゝに至れば、最も眞に近づく、最も痛切である。ゾラの所謂人間の證劵(Document humaine)は斯くして始めて的確に讀まれる。...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (3)
ゾラが『ルーゴン、マカール』二十篇の小説は、相補うて一の系統遺傳論であるとは言ふまでもない。此の意味で彼れは進化論の眞理を目的とした。また彼の『ラッソモア』は男女が飲酒、色欲、貧困等に圍まれて如何に墮落し死亡し行くかを語るを目的としてゐる。社...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (2)
さて上に表示した諸目的中、或は其の一を援いて題材とし、或は其の二、三を兼有して題材とする。固より是等は、自然主義のみが題材とするものとは限らぬが、最も多く自然主義と聯結するものである。自然主義が近代的、傳習破壊的である結果は、個人主義と連なり...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十一 (1)
十一
眞といふ最後の目的が手の届く所に來れば、碎けてさま/″\の形になる。作家は手に/\之れを捨ひ取つて作の題材とする。言はゞ是れによつて彼等の注視點を定めんとする。湧き來たる一切の思念の流を之れにはけさせんとす...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|十 (3)
然らば、斯やうな第一義の眞は、たゞ深い、高いといふだけで、明かに手に取ることは出來ぬであらうか。是れと第二義の理想、現實などいふものとの干繋は如何。此れに對する答がやがて自然主義の題材論である。たゞ自然の眞といふのみでは物足らぬ、不滿足である。...