■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義(22)
- カテゴリ: その他
- 2009/07/26 02:21:34
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|三 (3)
續いて十八世紀の末に出たワーヅワースは、其の『抒情歌集』第二版の序に於いて、詩はたゞ平凡境に於ける強い感情の自然の流溢を平凡の言葉に調べ出だすに止まる、詩に特殊の辭法無く、特殊の人生無しと喝破し、且つ最も自然の景に愛着して、自己と自然物との...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|三 (3)
續いて十八世紀の末に出たワーヅワースは、其の『抒情歌集』第二版の序に於いて、詩はたゞ平凡境に於ける強い感情の自然の流溢を平凡の言葉に調べ出だすに止まる、詩に特殊の辭法無く、特殊の人生無しと喝破し、且つ最も自然の景に愛着して、自己と自然物との...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|三 (2)
ルソーは其の第一論に於いて筆も言葉も及ばぬ自然の偉大を嘆美し、第二論に於いて言語なく習慣なく道徳なく戰鬪なき原始社會を想像し、教育小説『エミール』に於いて「造化の手に成るものは凡て善、人間の手に成るものは凡て墮落」の意を述べた。一切人間の技...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|三 (1)
三
ロマンチシズムの文藝が斯くの如き途を辿り盡くさんとしてゐる時、忽ち行く手に一路を展開し來たつたものが自然主義である。文藝史上に自然主義の名を最も明白に掲げたものは所謂フランス自然主義であるが、主義と名のつかぬ自然主...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|二 (12)
併しながら此等の諸特質は究竟何を生命として發動してゐるか、此等の背後には、さらに/\奧深く或る一物の熱い息が力となつて之れを活かしてゐるのでは無いか。何等かの一物が、ギリシャの昔から廿世紀の今日に至るまで、子となり孫となるものゝ努力向上の...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|二 (11)
斯くしてロマンチシズムには更に中古的、神祕的といふが如き特性を生ずる。情緒的、自然的、理想的、自我的、中古的、神祕的、吾人は此の六項目の何れかゞ并存し若しくは獨存して其の中心動力となり居るものをロマンチシズムと定義せんとするのである。其の...