■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味(34)
- カテゴリ: その他
- 2009/06/04 23:53:24
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (2)
盖し美を目して全く我等の生と無交渉のものとするの思想は、凡そ下の四點から之れを疑はれても致方のない理由がある。第一は夫の『藝術の起源』の著者ヒルン氏がいふやうに、近年の人類學研究の發達は、延いて野蠻民族の藝術が常に實用の爲に...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (2)
盖し美を目して全く我等の生と無交渉のものとするの思想は、凡そ下の四點から之れを疑はれても致方のない理由がある。第一は夫の『藝術の起源』の著者ヒルン氏がいふやうに、近年の人類學研究の發達は、延いて野蠻民族の藝術が常に實用の爲に...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (1)
下 生の増進と美
一
併しながら斯やうな思想には反對の潮勢も甞て絶えぬ。殊に近時に於いては此の潮勢が漸く力を増し、美研究の世界は二大別せられて、美と生とを合するものと、美を生から離すも...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|中 遊戯説|二 (5)
美を功利實用から引き離すといふ思想は、無論今に始まつたことではない。カントが美感の特質を數へて其の一を無利害(Interesselosig)と斷じたのが、此の思想の近世に於ける明白な發聲である。美は道徳からも實用からも獨立する、之...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|中 遊戯説|二 (4)
從つて美を之れと聯絡せしむる限り、美も亦たシラーに於いては人生の緊要事となり、スペンサーに於いては人生の閑事業とならざるを得ぬ。少なくとも生存といふ事を人間の第一義として事物の價値を判斷する限り、スペンサーの美は其の圈隅に押し除け...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|中 遊戯説|二 (3)
スペンサーの意に註解を加へて述べれば、以上の通りであるが、其の事みづからの目的を達するを必要とすると否と、乃至實際であると想像であるとの別が果たして遊戯と美との區界となるか如何といふことは、尚考究を要するとして、茲に吾人の注目すべ...