■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味(14)
- カテゴリ: その他
- 2009/04/06 19:24:57
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (4)
道徳とは此の無限と有限との矛盾を調攝せんがために、無限をして讓歩せしむるの謂ひである。生の要望を適度の所、中庸の所に留まらしめんとする消極的解決法である。中にも生の増進から來る矛盾に於いて道徳の立場を認める。外圍との矛盾を解くた...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (4)
道徳とは此の無限と有限との矛盾を調攝せんがために、無限をして讓歩せしむるの謂ひである。生の要望を適度の所、中庸の所に留まらしめんとする消極的解決法である。中にも生の増進から來る矛盾に於いて道徳の立場を認める。外圍との矛盾を解くた...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (3)
此に於いてか生の無限といふ要望は、變形せざるを得ぬ。ちやうど敷石の下に生えた草の芽が、頭を押へられて屈曲するやうに、生の無限といふ素直な要望は、有限の押さへ石に突きあたり、曲りくねつて、さながら上からでも生えた如く、再び下にきさ...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (2)
此の意味から言へば生は、空間的にも時間的にも絶對無限ならんことを欲する。生の理想は自己の無限といふことにあるとも見られる。増進永續の二件は無限といふ一に合して、生の無限が人間最高の要望となる。併しながら現實の社會はあらゆる方面に...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (1)
四
されば我等は今一度如何に生きるかといふ始めの問題に立ち返つて、「如何に」といふ形容詞の説明を生そのものゝ中に尋ねると、茲に二つの條件が出て來る。一は増進といふこと、一は永續といふことである。生の増進、生...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|三 (3)
併しながら是れはたゞ茫漠たる信仰もしくは想像に過ぎぬから、知識上の要求より言へば、さうであるかも知れぬが又さうでないかも知れぬ。人生には何等の目的計畫もなしと信ずるものも現にある。結局此の點以上は知識の容喙を許さず、知識に取つて...