■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味(9)
- カテゴリ: その他
- 2009/03/28 15:05:09
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|三 (2)
生きて而して何を爲さんとするか。生の上には傾向があつて、生の末には目的がありはせぬか。換言すれば我等は何のために生きてゐるか。此の疑問に對して知識上明瞭な答の與へられぬのは、神や善の理想の場合と同じで、畢竟は神といひ善といふもの...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|三 (2)
生きて而して何を爲さんとするか。生の上には傾向があつて、生の末には目的がありはせぬか。換言すれば我等は何のために生きてゐるか。此の疑問に對して知識上明瞭な答の與へられぬのは、神や善の理想の場合と同じで、畢竟は神といひ善といふもの...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|三 (1)
三
生以下の事象で生を行きどまりの標準として價値を有するものゝ多いことは言ふを要すまい。生理的乃至心理的に、我が生を増益するが故に之れを所望する。此等はすべて價値の本を生に托するに外ならぬ。口鼻の感覺に快い...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|二 (4)
有無黒白の根本認識と理想の直觀とは、決して等しなみに見るべきものでない。事實といふ意味が違ふ。理想の直觀といふことを、それ以上説明出來ぬ最後の事實と見るか如何といふことが即ち疑問なのである。茲では之れを最後の事實と見ず、其の間に...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|二 (3)
隨つて理想とはたゞ我等が最も望ましいものゝ總名たるに過ぎぬ。其の中から特に要望の源たる一概念を明に知識し出ださんとすれば、忽ら茫漠として方を失ふに至る。理想が別に高い所にかゝつてゐて、我等が先づ之れを認識するによつて、こゝに要望...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|二 (2)
併しながら此の種の思想に對する根本の難點は、認識して要望するといふ心理的順序が立たなくなるといふことであらう。善乃至神といふ理想は、其の實、理想みづからとしては、古來未だ曾て我等の知識に上つたことが無い。神といひ善といふものゝ内...