■近代文藝之研究|時評|問題文藝と其材料(3)
- カテゴリ: その他
- 2012/07/01 06:39:28
■近代文藝之研究|時評|問題文藝と其材料 (3)
是れは單に此劇のみでなく、凡て此種の問題的文藝に伴ふ疑問で、つまりは所謂問題的文藝は問題を提出するに止まつて眞の解決をば與へずして過ぐるものではなからうかと云ふに歸する。それについては丁度此頃同じやうな問題劇で青年作者として第一位を占めてゐる Bar...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|時評|問題文藝と其材料 (3)
是れは單に此劇のみでなく、凡て此種の問題的文藝に伴ふ疑問で、つまりは所謂問題的文藝は問題を提出するに止まつて眞の解決をば與へずして過ぐるものではなからうかと云ふに歸する。それについては丁度此頃同じやうな問題劇で青年作者として第一位を占めてゐる Bar...
■近代文藝之研究|時評|問題文藝と其材料 (2)
此式の材料を三角形(Triangular)文學とも云ふ、其意は男と女――夫婦の關係、それに後に姦夫とか、又は其以前に關係した男女とかがあらはれ來つて悶着が起る、つまり男女二人の關係の中へ第三者が入り來り、三角形になる、即ち三人の關係になる所より呼びな...
■近代文藝之研究|時評|問題文藝と其材料 (1)
問題文藝と其材料
問題文藝と云ふ事は、屡々吾人の繰り返して云ひ、又世間も知つて居る所であるが、其眞意即ち人生第一義の道徳問題に觸るゝ文藝は、かくの如き問題を提出するに最便宜の方便、言ひ換ふれば現在社會の秩序を維持する根本原理である所の形式的...
■近代文藝之研究|時評|思ひより (3)
閨秀作家といへば今のところ楠緒、八千代の兩女史を中心とするやうであるが、兩者ともむしろ一種の批評眼を具へてゐる點が注目に値する。後者の劇評は人の知る通りであるが、前者は之れを其方へ向けたら鋭利な一箇の小説批評家となるべき作家ではないか。漱石氏の『野分』に、玄...
■近代文藝之研究|時評|思ひより (2)
而して斯くの如き自然派的傾向の傍に相接して存し得べきものは、哲學的乃至神秘的感味といふ意味に於いてのローマンチシズムではないか。我等は素直なる自然派の興隆を喜ぶと共に、之れに右の如きローマンチシズムの配色明かなるものをも認める。ツルケネフたりモーパッサンたる...