■近代文藝之研究|時評|文學入門者に(2)
- カテゴリ: その他
- 2012/04/15 11:34:47
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (一)(2)
旁々以て始めから文學者にならうと志し、さて如何にして文學者たるべきかと工夫する例は寧ろ稀であらう、是一方より言へば自然の境遇が文學者を造るのであつて、最初の志が必ずしも文學者を造るものではないといふことを證明するのである。又今一つ他の方面から見ると...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (一)(2)
旁々以て始めから文學者にならうと志し、さて如何にして文學者たるべきかと工夫する例は寧ろ稀であらう、是一方より言へば自然の境遇が文學者を造るのであつて、最初の志が必ずしも文學者を造るものではないといふことを證明するのである。又今一つ他の方面から見ると...
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (一)(1)
文學入門者に
一
如何にして文學者たるべきか、此の問題を解くには先づ文學者は如何にして文學者に成つたかを考ふるが第一である。ところが從來の文學者は十人十色であつて、殊に文學者と云つても詩人になる人があり、小説家になる人があり、...
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (11)
終りに、我が文藝に於ける如上の試みの比較的多く成功してゐるのは、言ふまでもなく文學である。之に次ぐものは繪畫であらう。併しながら繪畫に於いても日本畫の如きは此等の新しい試みがまだ殆んど全く成就の緒について居らぬ。例へば寫實に關していふも、現在の日本...
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (10)
而してたとひ此の試みが成功するとしても吾人は之れを以て直ちに東西文藝を一に混じ得るものとは信ぜぬ。結局は斯くの如き工風もまた樣式の沙汰に歸して、其の見るところの現實自然、其の強烈なる感情、其の複雜なる思想は、皆中身に於いて依然たる東西相違の特徴を有...
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (9)
更に飜つて日本に於ける西歐文藝の影響を見れば、先づ右に述べた日本文藝の特色といふものが、其の裏面に直ちに日本文藝の短所を指摘して、暗示的といひ裝飾的といふことは動もすれば現實自然の分子を缺くといふことになり、單一といふことは同時に貧小といふことにもな...