■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比(8)
- カテゴリ: その他
- 2012/04/04 23:54:33
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (8)
しかもなほ之れがために東西を打つて一丸とした新畫風が起こつて、東西の別が薄らがうとはまだ容易に思はれず。啻に東西の別が薄らぎさうにないのみならず、其のいはゆる日本美術の特質といふものすら、我等の眼から見れば、動々もすれ技巧樣式の皮相に止まつて、根本の...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (8)
しかもなほ之れがために東西を打つて一丸とした新畫風が起こつて、東西の別が薄らがうとはまだ容易に思はれず。啻に東西の別が薄らぎさうにないのみならず、其のいはゆる日本美術の特質といふものすら、我等の眼から見れば、動々もすれ技巧樣式の皮相に止まつて、根本の...
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (7)
而して彼等の或るものは此の特質を嘆美して自家の樣式中に取り入れんと試みた。夫のアールヌーヴォーの模樣美術が果たして光琳から脱化したか否かは別とするも、印象派、殊に其の一派といふ點彩派の如きは尠なからず色彩模樣の上に日本畫の影響を受けたと稱せられる。ま...
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (6)
さて吾人が茲に簡單なる一觀測を加へんとするのは、二三十年來、東西文藝の特質として彼此互に相收容せんと試みられた諸點についての概略である。先づ之れを西洋人が東洋の文藝、就中日本文藝の特色として數へるものより言へば、彼等は繪畫に於いて最も多く之れを見た。...
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (5)
吾人は此所まで論じ來たつて、所謂東西文明の相違といふことに根本の是認を與へると共に、其の融和といふ意味の頗る複雜なるべきを想ふの情に絶えぬ。就中重要なる文明の部門たとへば道徳といひ宗教といひ文藝といふが如きものに於いて民族的相違の極めて顯著な西洋と東...
■近代文藝之研究|時評|東西新文藝の對比 (4)
起源は何れにありとするも、歴史あつて以來民族性が地理によつて變ずることは事實である。少なくとも其の一半に於いて、民族性は地理のために左右せられる。橘が一たび淮を渡れば枳に化するの理であらう。しかのみならず民族の血は恰も夫の鷄を養ふものが雜種によつて變...