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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(4)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (4)
政治の世界で、政黨の論や元老の是非や、財政だ外交だと騒いでゐる中に、社會が最も興味を持って案摩するものは人物だ、新人物だ、新英雄漢が何等かの際會からひよつこり出現しはすまいか。興味の中心は未發見の個人格にある。一種の英雄崇拝的傾向である。是れが畢竟充...

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■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(3)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (3)
交友の上でも、いゝ加減な空世辭を言つて跋を合せたり、一向上すべりの事ばかり言ひ合つて面白くない事を強いて笑つたりしてゐる事が厭になる。身の入つた話をしない以上、交友などは面倒くさいといふ感じが強くなる。虚禮虚儀のうるさゝが今さらのやうに氣になる。禮儀...

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■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(2)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (2)
文藝の上に所謂自然主義が此の種の精神を代表して、技巧文章の味を卑み、成型、因襲の累を厭ひ、新、眞、直截、赤裸々を喜ぶの事實は述べるまでも無いが、此の氣風は固より單に文藝の上にのみ發したものでなく、一般思想界の自覺に基づく。さればこれが鬱勃するところ、...

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■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(1)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (1)
     充實を欲する社會
今後しばらくの社會に流行してよいのは充實といふ言葉であらう。社會は漸くあらゆる方面に充實を要求して來た。感じの鋭敏な文藝界思想界が先づ是れを感じた。若しくは感ぜんとしてゐる。而して後諸般の社會現象、例へば政治にも道徳にも是...

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■近代文藝之研究|時評|動的美學(7)

■近代文藝之研究|時評|動的美學 (7)
勿論自然の對境も皆凡て其の約束を有して居らぬとは言へぬが、其の動は大にして複雜、到底人間の意識内に之れを包藏し盡す〓[#「こと」合略仮名]は出來ない。此に於いてか之れを假りに我等みづからの動の約束に引きあてゝ、我等みづからの型に入れる。例へば茲に一の大河の流...

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