■近代文藝之研究|時評|梁川、樗牛、時勢…(6)
- カテゴリ: その他
- 2011/10/18 23:51:57
■近代文藝之研究|時評|梁川、樗牛、時勢、新自我 (6)
振り返つて我が文壇の近事に思ひ會はすと、樗牛熱の時代が早く過ぎ去つて以來人は漸く一から數へ上る建設的態度を喜んで、そこに樣々な自己展開の工風をする。落ちついて來た、靜に深く考へて、新しい土臺を築かんとして來た、つまり眞面目になりかけたのである...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|時評|梁川、樗牛、時勢、新自我 (6)
振り返つて我が文壇の近事に思ひ會はすと、樗牛熱の時代が早く過ぎ去つて以來人は漸く一から數へ上る建設的態度を喜んで、そこに樣々な自己展開の工風をする。落ちついて來た、靜に深く考へて、新しい土臺を築かんとして來た、つまり眞面目になりかけたのである...
■近代文藝之研究|時評|梁川、樗牛、時勢、新自我 (5)
併しながら、悲しいかなスツールム、ウント、ドラングは此所に至つて其の極限に達する。他者を破壞せんとするの自己と、破壊後に展開せんとするの自己とは、おのづから態度が違はざるを得ない。或は一歩を進めて、物自體が違ふかも知れぬ。スツールム、ウント、...
■近代文藝之研究|時評|梁川、樗牛、時勢、新自我 (4)
梁川に比べれば、樗牛の追想は全く状態を異にする。樗牛の文藝も同じく色彩絢爛姿態横生は勿論であるが彼れは燃え上る〓[#「焔」の異字体]の如く、常に動いてゐた、從つて消えることも早かるべき運命を有してゐた。彼れは必ずしも一部の人のいふやうな思想の...
■近代文藝之研究|時評|梁川、樗牛、時勢、新自我 (3)
然るに外に見はれた梁川、『病間録』『回光録』に見えた梁川は、更に別趣の面目を有してゐる。人は彼れが文藝を以て宗教を包んだといふ。併し文藝で宗教を包むといふことは、一方から言へば、殆んど凡ての宗教の發相に於いて然りといはれる。教會寺院といひ、經...
■近代文藝之研究|時評|梁川、樗牛、時勢、新自我 (2)
されば今吾人をして如上の事實から一歩を跨がしむれば、梁川が宗教的生涯の未來は、中に徹底超越の氣を増すと共に、外面の光澤漸く散じて、色彩の赤く強い所が、白くなり淡くならねば休まなかつたであらうと察する。言はゞ白熱の域に達する。文藝の人梁川は、此...