■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に…(22)
- カテゴリ: その他
- 2011/09/03 00:08:58
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 七(1)
七
川に沿ひ寺を圍《かこ》んだ廣い墓地には、楡《にれ》の大木《たいぼく》が所々《ところ/″\》に蔭《かげ》をなして、細工を凝らした花壇や、硝子箱に入れた造花《つくりばな》の仰々《ぎやう/\》しい新墓《あらはか》の脇を...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 七(1)
七
川に沿ひ寺を圍《かこ》んだ廣い墓地には、楡《にれ》の大木《たいぼく》が所々《ところ/″\》に蔭《かげ》をなして、細工を凝らした花壇や、硝子箱に入れた造花《つくりばな》の仰々《ぎやう/\》しい新墓《あらはか》の脇を...
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 六(4)
「さうですね、それは、ちやうど今の前《さき》私《わたし》が此の墓石を見てつく/″\と感じてゐた所と一致した一つの感じですが、言はゞ、藝術は如何なるものをもブライトにする、藝術の標徴はブライトネス、プロスペリチー、プレジュラブルネス...
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 六(3)
「いや私《わたし》の考は少し違ふ。あれはアブスツラクト、アイといつて、深く思想を一事に集中してゐる時の状態ぢや。眼《め》は明いて居ても何も見當《けんたう》をつけて見てはゐない表情ぢやと思ふ。私《わたし》には寧ろ何か我々には聞こえぬ靈妙の音樂ど...
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 六(2)
「お父つさま、此の像をよーつく見つめてゐますとね、笑つて來ますよ。そら御覧なさい、ね。」
と眼《め》は我れの方《はう》を見ながら、娘がいふと、
「あ、それは此の像についての有名な話ぢや。是れはもと墓作りのジョンソンといふ土地の石工が刻んだもの...
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 六(1)
六
後年|巴里《パリイ》にナポレオンの墓を訪うた時は、其の構造の如何にも壯麗を極めてゐるに拘らず、金粉榮華の底に、堪へられぬ程の淋しさ物悲しさを感じ、愴然として寺を辭したが、シヱークスピーア[#「ヱ」は小文字]の墓に詣でゝは、我...