■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇(23)
- カテゴリ: その他
- 2011/08/06 23:48:26
■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇 (23)
畢竟海から打ち上げられた人魚の如く、一たび相對有限の普通道徳に縛られゝば縛られるほど反撥して無限の廣大、絶對の自由に還りたくなる。此時之れを救ふの道は、潔く其の縛を切り放つにある。所謂自由である解放である。放つて絶對無限の大自由に入らすれば、責任...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇 (23)
畢竟海から打ち上げられた人魚の如く、一たび相對有限の普通道徳に縛られゝば縛られるほど反撥して無限の廣大、絶對の自由に還りたくなる。此時之れを救ふの道は、潔く其の縛を切り放つにある。所謂自由である解放である。放つて絶對無限の大自由に入らすれば、責任...
■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇 (22)
『人形の家』のノラが不思議が起こつたらと言ひすてゝ出て行つた後、『幽靈』のオスワルドが太陽々々と叫んだ時、我々は今まで氣のつかなかつた、妙な世界を眼の前に見せられて、何うも考へ込まずには居られぬやうな氣がする。即ちまだ解けない、考へない、見ない人...
■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇 (21)
第十五、全體あまりに知力的であるといふこと。第十六、婦人の自覺といふこと。第十七、夫婦相互の理會といふこと。第十八、北方婦人の知識欲といふこと。第十九、科學と不可思議との關係等が其の重なる提案である。其の他ゴッス氏が擧げた箇條などをも加へれば二十...
■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇 (20)
第二には自由といふ問題。第三に不可思議力といふこと、第四に北方傳説と此の作との關係如何といふこと、これは夫の種々な文學に取り入れられてゐる遁竄のオランダ人乃至北海の人魚や海の妖精などいふことに干聯して趣味ある研究となるであらう。第五に人生の不安を...
■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇 (19)
さて此の作は例によつてさま/″\なイブセンの問題なりを提示してゐる。試に是れを研究してゐる學生の一團に所感を言はしめて見た結果は、下の如き雜多の項目を得た。すなはち第一、結婚に關する研究、之れは勿論イブセンに多くある問題で、此の作中で...