■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の…(34)
- カテゴリ: その他
- 2011/03/29 22:56:14
■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の跡 九(4)
此の點を超ゆるときは、形式美の原理盡きて、内容美の原理其の作用を始む。すなはち、寫生の意を援《ひ》き來たりて、模樣の中に繪畫の味を點加するなり。而して唐草模樣の多くは、また此の原理をも適度に包含す、其の謂ふところ成長の原理(Inflorescen...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の跡 九(4)
此の點を超ゆるときは、形式美の原理盡きて、内容美の原理其の作用を始む。すなはち、寫生の意を援《ひ》き來たりて、模樣の中に繪畫の味を點加するなり。而して唐草模樣の多くは、また此の原理をも適度に包含す、其の謂ふところ成長の原理(Inflorescen...
■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の跡 九(3)
我等は以上の説より更に一歩を進めて、卷曲線の上に同一の原理を認めんとす。之れを例へば、蕨の芽、浪の頭《かしら》の如き圖紋は、其の軸に於いて直線若しくは非常に鈍き曲線をなし、其の頂《いたゞき》に及びて急遽彎卷して、而も圓《ゑん》に還らず、次第に其の...
■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の跡 九(2)
曲線の連續によりて複雜なる一切の美を説明し去らんとするの難事たるは言ふまでもなけれど、之れによりて形式美の一面たる變化活動の理を標示するの思想は、注目に値するものたり。また『裝飾意匠の原理』と題する書を著はせし英のドレッサー(C.Dresser)...
■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の跡 九(1)
九
而して如上諸圖紋の根本原理は卷曲線といふ事なり。夕映の空にさま/″\なる雲の卷舒を見、若しくは河中の水の渦まき海邊に浪の道まくを見て、こゝに卷曲線圖の落想を得るが如きは、稍々稀なる場合なるべしといへども、紙片、葉端、...
■近代文藝之研究|研究|ルイ王家の夢の跡 八(5)
稱呼の起源はしばらく何れにありとするも、此の種の裝飾模樣が我が國にては如何なる時代に如何にして現はれたるか。同一原理に基づける類型模樣にて、必らずしも草ならざるもの、例へば前來しば/\いへる渦紋、螺線乃至卷雲の形等の何れが先なるか。古き建築物乃至...