■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義(27)
- カテゴリ: その他
- 2010/04/03 00:18:44
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (27)
さて此の二人が代表するところの傾向を觀るに、カーライルは批評の最後の標準を實人生に求めんとし、アーノルドは之れを實人生より獨立して文藝そのものゝ上に求めんとする。カーライルに取つては、其の『英雄崇拝論』中ダンテ。シヱークスピーアを論じた條などがよく...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (27)
さて此の二人が代表するところの傾向を觀るに、カーライルは批評の最後の標準を實人生に求めんとし、アーノルドは之れを實人生より獨立して文藝そのものゝ上に求めんとする。カーライルに取つては、其の『英雄崇拝論』中ダンテ。シヱークスピーアを論じた條などがよく...
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (26)
されば到底批評壇は舊標準に代つて立つべき新標準を何れにか見出ださゞるを得ない状勢となつた。此の時にあたり、劃然異つた二つの重大なる傾向を代表して英國の批評壇に見はれたものがカーライルとマシュー、アーノルドとである。カーライルは人も知る如く英国精神界...
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (25)
而も尚ほ無標準の批評界にはあらゆるものが跋扈し得る。偏狭なる個人の好惡、恩怨に基ゐする個人の愛憎、政治宗教等の相違より來る黨派心、是等のものが他の正しい標準と相班して侵入し來たるは誠に已むを得ぬ次第であつた。英國の十九世紀上半に於ける批評壇はまたよ...
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (24)
昔は「先づ理法を習へ、而して作品を之れによりて評價せよ」といつたのが、今は顛倒して「先づ作品を鑑味せよ而して其の中に理法を見出せ」といふに歸した。演繹から歸納に入つたものが歸納から演繹に入ることゝなつたのである。是れが概般の形勢から見て、近代批評の...
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (23)
而して此の傾向は更に發展して彼れが餘風を追うたといふ夫の、我が讀書社會に能く知られた英文學史の著者テーンに及び、遂に立派なる一種の客觀的標準を形成することゝなつた。即ちテーンが作者の境遇、時勢、人種の三標準を掲げて、是れで一切の作品を批評せんとした...