■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義(7)
- カテゴリ: その他
- 2010/03/03 01:09:45
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (7)
斯やうなラオコーン像に對して、初めて有名な評を下したのが獨乙のヴヰンケルマンで、其の名著『古代美術史』は實に美術研究の上に一期を劃したもの、ヴヰンケルマンみづから、希臘美術に精通して、秀拔な鑑識力を有した人であつた。彼れがラオコーン論は「繪畫及び彫刻...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (7)
斯やうなラオコーン像に對して、初めて有名な評を下したのが獨乙のヴヰンケルマンで、其の名著『古代美術史』は實に美術研究の上に一期を劃したもの、ヴヰンケルマンみづから、希臘美術に精通して、秀拔な鑑識力を有した人であつた。彼れがラオコーン論は「繪畫及び彫刻...
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (6)
さて此の彫刻像は博物館中では同じく有名な、世界に二つとないベルヴヱデヰアのアポロと相隣して、何れも別格の取扱を受けてゐる。傳説によるとラオコーンはトロイ人のために希臘の神ネプチューンに捧げ物をせんとしてアポロの怒に觸れ、海から上つて來た二頭の大蛇のた...
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (5)
ラオコーンとは今伊太利羅馬の法王殿附屬の一博物館にある彫刻像の名で、ラオコーンといふトロイの僧が、親子三人大蛇に取り卷かれて將に死なんとする斷末間の苦惱を現はしたもの、よく寫眞版になつて我邦にも來てゐる。此の彫刻の出來た年代は或は西洋紀元前五世紀とも...
■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (4)
茲で文藝上の作品に對する説明といふのは、何も訓詁註解の意味では無い。其の作品の有してゐる、形式や中身やの生命を、或は分解し、或は綜合して解説するのである。又評價といふのは、文字通りに其の作品の價値の高下を何等かの標準尺度に照して判定するの謂である。
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■近代文藝之研究|研究|近代批評の意義 (3)
されば本論は自然西洋の批評を中心として立言する〓となる。但し今は敢て科學的に批評といふものゝ定義を下さうとするのでは無い。批評は勿論有用である。古來批評といふことありしがために、文藝が其の眞價を發見せられ、其の生命を永くせられ、其の内容を展開し増加せ...