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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(51)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|十 (2)

思ふに高級の文藝は凡て此の恐れを豫見して立たなくてはならぬ。多數の後れた人と少數の進んだ人といふ杆格は、やがて社會道徳と文藝との杆格である。文藝は性として半途半熟を許さぬ、常に全力的でなくては大なるものは出ない。斯う考へて見ると多數の後れたものと...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(50)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|十 (1)

        十

自然主義を以て獣性、就中男女間の獣性のみを描くを本旨とする如く考へるものと、自然主義を以て道徳上の本能滿足主義と同一視する者とは、自然主義論中の二大謬見である。肉欲も現實の一部である限り、眞の現實を描かんがため必要の場合には...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(49)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|九 (4)

けれども一方には自家の理想のために累せられた人生の映ずることあるも、凡人の免れ難い所であらう。此の點から見れば、更にまた或る特殊の傾向を有するものが最もよく自然主義の文藝に之いて以上の約束を果たすに適當する。例へばスケプチシズム、ナイヒリズム等の...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(48)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|九 (3)

而して色々に想ひ得てしかも何れにも滿足するを得ず、無限に欣求の情を恣にする時は、心の活動につれて無限の快味を感ずる。吾人は之れを文藝の末尾としての宗教的情趣とも名づけやう。是れが解決に一轉すれば其處から新宗教なりになるのである。斯くして自然主義の...

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■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値(47)

■近代文藝之研究|研究|自然主義の價値|九 (2)

思ふに直ちに事物の中身を取り出さんとする一種の傾向は、クラシシズムの形式觀に反抗して起こつたロマンチシズムの特色であつて、それが自然主義にも傳はつたと見られる。一番深いものを、其のまゝ衣裳を着せないで赤裸々に掴み出したい。併し自然主義はロマンチシ...

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