■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義(50)
- カテゴリ: その他
- 2009/09/24 21:40:57
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|七 (2)
たとへば甞ても吾人の彫刻論に引いたドイツの美術史家ローセンベルグ氏が、冩實主義は描冩の上になほ畫家の圖取、布置、彩色、明暗等の特權を棄てぬもの、自然主義は全く自然に無條件の降服をなして、偶然でも無形式でも無秩序でも構はず自然の來るがまゝを寫すも...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|七 (2)
たとへば甞ても吾人の彫刻論に引いたドイツの美術史家ローセンベルグ氏が、冩實主義は描冩の上になほ畫家の圖取、布置、彩色、明暗等の特權を棄てぬもの、自然主義は全く自然に無條件の降服をなして、偶然でも無形式でも無秩序でも構はず自然の來るがまゝを寫すも...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|七 (1)
七
自然主義と冩實主義とを程度の差とする第二の見解は、描冩法を如何に多く客觀化するかといふ論に歸する。此の説では、冩實主義はなほ全く自然のまゝを冩す度が足らず、私意巧僞の跡が多い。自然主義は一層之れを客觀化して、冩眞の種板...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|六 (7)
美學者ハルトマンは、シャスレル。カリエール等を論ずる條に於いて、冩實説の理想説に對立する意義の不明瞭なるを難じ、また其の本論に於いても、假象説の立場から、文藝上の現實自然といふことを難じてゐるが、それらの場合、自然主義と冩實主義の間に明確な區別...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|六 (6)
一二、の學者が外形の模冩から内面の模冩といふ思想に一歩を轉じた事はあつても、大體に於いて外形的模冩論がギリシャ思想の特色で、同時に古代の模冩論と近代の模冩論との區分も此の點にある。外形の模冩、自然の模冩、之れを中心とする點に於いて、冩實主義はク...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|六 (5)
勿論ギリシャにも事實此の以外の傾向はあるが、吾人がクラシカルといふ時の中央概念は外形本位といふことである。クラシシズム即外形主義、而して外形を本位とする限りは、自然が現實に造り出してゐる者以上の標準は無い譯であるから、茲に外形に見はれた自然すな...