■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義(40)
- カテゴリ: その他
- 2009/08/23 20:11:38
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|五 (4)
そこで自然主義は文學のゾラ、繪畫のモネー等によつて、實驗小説といひ印象派といふ旗印の下に擁立せられた。同時に今までの同伴者は凡て敵として斥けられた。情緒派は狂〓にまかせて事實を誇張するが故に自然を傷ひ、理想派は事實に選擇作爲を加へて原形を變ずる...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|五 (4)
そこで自然主義は文學のゾラ、繪畫のモネー等によつて、實驗小説といひ印象派といふ旗印の下に擁立せられた。同時に今までの同伴者は凡て敵として斥けられた。情緒派は狂〓にまかせて事實を誇張するが故に自然を傷ひ、理想派は事實に選擇作爲を加へて原形を變ずる...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|五 (3)
彼の詩にも畫にも、殊さらに煩瑣な寫實的自然的描寫が挿入して無いではないが、それはむしろ邪魔にはなつても妙所とはならぬ。全體の特色は矢張り極めて濃厚な情緒的傾向にあつた。要するにラファエル前派は始めから分離すべき二面を強ひて括り合はせた主張であつた...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|五 (2)
然るに此の情緒的と自然的といふ二面の目的の調和は不可能であつた。團結後僅かに兩三年ならずしてラファエル前派は早くも瓦解した。同志は各々其の傾くところに從つて自個本來の方向に特色を發揮して來た。中について最も著しいのはロゼチである。彼は單獨となつて...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|五 (1)
五
ロマンチシズム内の自然主義が他の同居者と分離せざるを得ざる事實は、繪畫及び文學にわたつたイギリスの一主義、ラファエル前派の始終によつて最も明に證據だてられる。此の派の首領とも見るべきロゼチが言ふ所によれば、ラファエル前派はラフ...
■近代文藝之研究|研究|文藝上の自然主義|四 (8)79此に至れば繪畫上の自然主義は十七世紀に於いて早く十九世紀前半の文學が有する自然主義よりも一歩を進めてゐた趣がある。併しながら是れを後の印象派の自然主義に比べれば、尚そこに單純と複雜との距離を存すること勿論である。吾人の論は後の自然主義に入らねば...