■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味(37)
- カテゴリ: その他
- 2009/06/07 16:21:35
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (5)
次に第三第四は現在にわたつての事實であるが、まづ第三として擧ぐべきは、所謂理想派美學思想の多くが、古來一つの重要な暗示を有してゐる。それは人間の本性が、あらゆるものを生の要求と分離することを欲せぬといふことである。生と縁遠く...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (5)
次に第三第四は現在にわたつての事實であるが、まづ第三として擧ぐべきは、所謂理想派美學思想の多くが、古來一つの重要な暗示を有してゐる。それは人間の本性が、あらゆるものを生の要求と分離することを欲せぬといふことである。生と縁遠く...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (4)
而して此の石刀の柄の彫り物は純實用、純功利、後藤が〓[#「木」+「霸」]の彫り物は純美術純遊戯とすれば、此の間の矛盾は何うして解くか。そこに進化があり歴史があらう。美の完全な説明は此の進化、此の歴史を究めた後でなくては出來ぬ...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (3)
此の二ヶ條は少なくとも過去に於ける文藝美と功利とは關係を密接ならしむる重要の事實である。現在に於いては或は美と功利とは分離してゐるかも知れぬが、少なくとも過去に於いてはそこに何等かの密着作用があつたのではないか。若し是れあり...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (2)
盖し美を目して全く我等の生と無交渉のものとするの思想は、凡そ下の四點から之れを疑はれても致方のない理由がある。第一は夫の『藝術の起源』の著者ヒルン氏がいふやうに、近年の人類學研究の發達は、延いて野蠻民族の藝術が常に實用の爲に...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|一 (1)
下 生の増進と美
一
併しながら斯やうな思想には反對の潮勢も甞て絶えぬ。殊に近時に於いては此の潮勢が漸く力を増し、美研究の世界は二大別せられて、美と生とを合するものと、美を生から離すも...