■近代文藝之研究|時評|文學入門者に(14)
- カテゴリ: その他
- 2012/05/27 22:05:48
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (三)(3)
作を讀むことに聯つての難問は理論上の研究は如何するかといふことである。古來理論の研究は却て創作の邪魔になるといふ説と、邪魔にはならぬといふ説との二があつて、未解決であるが、近代文學の傾向より考ふるに、或程度迄の理論の修養は必要であると思ふ。科學者た...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (三)(3)
作を讀むことに聯つての難問は理論上の研究は如何するかといふことである。古來理論の研究は却て創作の邪魔になるといふ説と、邪魔にはならぬといふ説との二があつて、未解決であるが、近代文學の傾向より考ふるに、或程度迄の理論の修養は必要であると思ふ。科學者た...
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (三)(2)
之に次いでは西洋ならば前代に進むところであるが、日本では過去に歸るよりも西洋のものを讀んだが宜い、これは日本現代の作物と同時に讀んでも差支えない。然しなるべくは日本現代が大抵わかつた後、西洋の者を逆まに讀んだが宜い。それが十分に纏まつたらば、過去の...
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (三)(1)
三
次に此の研究の次第は修養といふことに及ぶ、文學者たるべき人は如何なる修養をなすべきか。文學の研究、文學の修養といふことは何時でも矛盾した意味を伴ふ。研究修養といふものは兎角知識上の活動を多分に含む、然るに文學は感納するものであつて、...
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (二)(7)
圓滿性とはいへ、批評家たるべき人の要する圓滿性は、作家たるべき人の要する特性と同意味に於て所謂聖人君子が有する圓滿性とは一寸違つた所がある。その點でいふと批評家もやはり作家と同じく、物の根本を直觀する力があり、情を以つて物を温めるといふ如き力を有す...
■近代文藝之研究|時評|文學入門者に (二)(6)
此れは寧ろ圓滿性平等性の發達した人であつて、此の方面の人は作家としては往々にして不適當な場合が多いと思ふ。かゝる傾向の人で特に情方面の傾を有する人、或は境遇上文學者たるべき地位に在た人は却て批評家といふ側に行く方が適當な場合が多い。然しながら批評家...