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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(6)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (6)
少しく自意識の強い鋭敏な頭の人なら、必ず多少此の自家が業務の意義に對する煩悶を感じないものはなからう。又之れを感ずるものが多くなつて行くと信ずる。つまり其の業務に熟通すればする程、型にも囚へられるし、不眞面目な箇所も目につくし〓[#踊り字「二の字点」...

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■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(5)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (5)
家庭といふものゝ上にも同じ意義がある。一時中年の戀云々の論なぞが諸方にあつたやうだが、中年の戀といへば名に煩ひがある。之れを家庭といふ側から言へば、即ち充實した家庭を要求するといふ事になる。情の消えた空虚な形式のみで運轉する家庭は維持するに堪えない。...

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■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(4)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (4)
政治の世界で、政黨の論や元老の是非や、財政だ外交だと騒いでゐる中に、社會が最も興味を持って案摩するものは人物だ、新人物だ、新英雄漢が何等かの際會からひよつこり出現しはすまいか。興味の中心は未發見の個人格にある。一種の英雄崇拝的傾向である。是れが畢竟充...

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■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(3)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (3)
交友の上でも、いゝ加減な空世辭を言つて跋を合せたり、一向上すべりの事ばかり言ひ合つて面白くない事を強いて笑つたりしてゐる事が厭になる。身の入つた話をしない以上、交友などは面倒くさいといふ感じが強くなる。虚禮虚儀のうるさゝが今さらのやうに氣になる。禮儀...

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■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會(2)

■近代文藝之研究|時評|充實を欲する社會 (2)
文藝の上に所謂自然主義が此の種の精神を代表して、技巧文章の味を卑み、成型、因襲の累を厭ひ、新、眞、直截、赤裸々を喜ぶの事實は述べるまでも無いが、此の氣風は固より單に文藝の上にのみ發したものでなく、一般思想界の自覺に基づく。さればこれが鬱勃するところ、...

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