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盗月Blog——島村抱月TextData——


島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。

■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學(5)

■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學 (5)
上來の論を以てすれば、圖書館當事者は『魔風戀風』を以て道徳と矛盾する戀愛を描いてしかも之れに最高是認の契機を配し得なかつた爲め非文藝の域に墮した作と認めるか。然らずんば如何なる文藝の化力あるに拘らず、道徳と矛盾する材料は凡て之れを斥けるといふか。そも/\...

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■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學(4)

■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學 (4)
若し夫れ人世に於ける戀愛の事情は萬種であるから小説中の戀愛が必ず凡て初めから道徳と矛盾せぬ者であるとは限られぬ。事實は却つて此の矛盾をこそ喜んで文藝の材とする。けれ共此の場合には必ず之れが是認の契機を一段の高處に作つて置かねばならぬ。即ち其一見矛盾と思は...

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■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學(3)

■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學 (3)
まして戀愛が文藝の中心感情である場合には、其の戀愛にして道徳との矛盾を殘すこと無く、最後の是認によつて直に圓融渾一の快感となる限りは、之れを其の作品の生命とする上に何の不都合も無いではないか。斯くの如きは既に精神的、道徳的破綻を顧みずして色欲にのみ狂奔せ...

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■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學(2)

■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學 (2)
然るに今の場合は未だ國法が其の自衞權を行ふといふ如き黒白の事實問題となつたのでは無い、豫防的干渉の性を帶びた事件である。夫の學校長等が學生の讀料に禁制を加へるのと同じく、婆心から生じた教育的態度に外ならぬ。すなはち是れ道徳上、思想上の問題である。第一『魔...

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■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學(1)

■近代文藝之研究|時評|禁閲覽の文學 (1)
     禁閲覽の文學
頃者新聞紙の報ずるところによれば、我が帝國圖書館は小杉天外氏の小説『魔風戀風』の閲覽を禁じたといふ。吾人は是れを以て當を失した處置と信ずる。身みづから圖書を護つて、最も斯の道に理解あり同情あるべき當事者が、輕々しく斯くの如き處置に...

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