■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に…(30)
- カテゴリ: その他
- 2011/09/21 23:18:08
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 九(5)
「倫理上では善と惡との中間に無善惡の事柄があるかどうかといふことは既に人も論じてゐる所ぢやらうが、私《わたし》は其の外に、半善惡といふやうなものがあると思ひます。シヱークスピーア[#「ヱは小文字]の場合が丁度それぢや。盗んだは盗んだがそれは普通...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 九(5)
「倫理上では善と惡との中間に無善惡の事柄があるかどうかといふことは既に人も論じてゐる所ぢやらうが、私《わたし》は其の外に、半善惡といふやうなものがあると思ひます。シヱークスピーア[#「ヱは小文字]の場合が丁度それぢや。盗んだは盗んだがそれは普通...
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 九(4)
すると娘も同じ電氣にでも感じたかのやうに、まじろいて身を起《おこ》した。端艇は過ぎて行く、そして遠靄《とほもや》の中に没してしまふ、岸にはあゝとの嘆息《ためいき》のみが取り殘された。しばらくして、娘は、「シヱークスピーア[#「ヱ」は小文字]が此...
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 九(3)
是れはしまつた、アンが身の振方《ふりかた》といふ裡《うち》には、私通《しつう》の懷胎《くわいたい》といふ疑が籠つてゐる。デリケート、センスの淑女紳士の前では言ひ及ぶまじき事柄であつたと思つたが追つかぬ。話題を轉じやうとしてゐるうち、娘はポッケッ...
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 九(2)
此土地の風格の、何とはなく清らかで、情《なさけ》ありげなのは、畢竟この川あるが爲めであらう。シヱークスピーア[#「ヱ」は小文字]と、エヴンとは、土地の命《いのち》である。若しあの白鳥《はくてう》がシヱークスピーア[#「ヱ」は小文字]の靈であつて...
■近代文藝之研究|研究|沙翁の墓に詣づるの記 八(2) - 九(1)
「あれは佛蘭西の系統《けいとう》ですよ。佛蘭西ではあの通りヴォルテヤの昔から、今のサードゥに至るまでシヱークスピーア[#「ヱ」は小文字]嫌ひが多いのですからね。なあに佛蘭西人なぞにシヱークスピーア[#「ヱ」は小文字]が分かるもの...