Nicotto Town



インコはグラニュー糖の雨音に耳を傾ける

マリオ君はジャズ歌手の女店主が営む喫茶店の看板鳥でした。
店主の車で共にご出勤なさる賢い緑のナミセキセイ。
客がいないときは私がせがんで籠から外へ、店内で一緒に遊びました。

彼が大好きだったのはグラニュー糖シャワー。
まずはシュガーポットに歩み寄り、木の蓋を外そうとする。
重たいから取れない。こっちを見る。はいはい、外しましょうね。

するとシュガースプーンをくわえ、勢いよく下に引っ張って落とす。
綺麗に磨かれた濃い紫檀色のカウンターにグラニュー糖が散乱、
乾いたシャワーのような音が一瞬響きます。張り切って逃げる。

この音が大好きなのですね。散らばった砂糖の傍に歩み寄り、耳を傾ける。
いやいや、もう音はしてないから。こっちをジーッと見る。もう一度聴きたいのね。

ペーパーナプキンで一面を清掃、スプーンも拭いてポットに戻し蓋をする。
スプーンをくわえても動かせない。またこっちを見る。なんとかしてよーという顔。
はいはい……これを数回繰り返すのです。

珈琲党の私ですが、ここではジュースばかり頼みました。
このお店では、飾りのオレンジやグレープフルーツはマリオ君のオヤツ。
人が持ってないと食べないのです。育ちがいいのですな。

ある日脱走、それと共に私の足も遠のきました。
全国の喫茶店のご主人にお願い申し上げます。
シュガーポットのスプーンを引っ張ろうとするセキセイインコが迷いこんだら、
「マリオ!」と声をかけ、櫛形に切ったオレンジを差し出してやって下さいませ。

アバター
2014/06/05 13:03
あら~、そうでしたか^^
元気で伝授と冒険してるといいですよね~。
アバター
2014/06/03 18:40
逃亡後、メールも電話も絵はがきの一つも寄こしません。まったくもう。
スプーン放り投げの奥義を各地で伝授するのに忙しいのでしょう。
アバター
2014/06/03 09:36
この後、マリオくんの所在はどうなったのでしょう?
すっごく気になります・・・^^;



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