Nicotto Town



『駅』という喫茶店があった。


ありふれた店名ですよね。今でも日本中に何軒あるやら。
しかしハマの人間にとりまして、この店名が示す店はただ一つ。
親不孝通りにあった『駅』をおいて他にありませぬ。

こちらの経営者はその筋の方でいらっしゃったそうです。
ゆえに薄暗くゆったりした店内は、その手の大人の方で溢れていた。
おそらく親族に連れられ、生まれて初めて入った喫茶店です。

親族がよく使ってたので(その筋ではありません)オレンジジュースやアイスクリーム。
妙な静けさと緊張感、紫煙漂い……幼少の私の喫茶店イメージを決定づけた名店です。
怒号や不快な思いをしたことは一度もない。「堅気には手を出さない」方しかいなかった。

東京オリンピックの聖火を肩車してもらって見た記憶があります。
聖火を走って追いかけ、私を喜ばせてくれた方もその筋のお若い方でした。
銭湯で見事な鯉の彫り物に歓声を上げたら微笑んでくださり、触らせていただいたことも。

今回も、非常識とのお叱りを覚悟して申し上げましょう。
人と関わる、袖擦り合うって楽しいよ、ってことをこの方々の在り様から教わった気がします。
私の持つ「大人」のイメージって、この方々に負うところが多いのです。

『駅』とは見事、詩情に溢れる店名だと思います。
駅は経過点であり、始点にも終着点にも成り得る。人が様々な想いですれ違う。
閉店後幾年が過ぎました。でも、あんな喫茶店があったら飛び込みたい。

はや半世紀、多くの方は鬼籍に入られたことでしょう。
あの方々にどんな人生があり、どんな思いを残してこの世を去られたのか。
幼少の私を構ってくださったことが幾分かの気晴らしになったのか。今となっては知る術もありません。

アバター
2015/03/22 17:26
>世沙明さん

こんにちは。お叱りを頂きそうな話題にお付き合いくださり有難うございます。
どんなものでも90%はクズである、という法則があるそうです。
たまたま幼少の私の周りにいた方々が、残りの10%だったのは僥倖でした。

いっぽう、喫茶店に重厚で暗い雰囲気を求めるのは、間違いなくこのお店の影響です。
もう一軒、これもありきたりな店名ですが『蜂』という喫茶店があって、こちらも同様でした。
こういうお店でいただくウエハースの載ったオーソドックスなアイスクリーム、大好きなのです。
アバター
2015/03/22 15:37
思い出の喫茶店なのですね。
そこでの時間はちょっと大人になった気分で~だったのでしょうか?(笑)

幼い頃のご縁はその方々にとっても良き思い出となったのでは?
お子といる間って見栄も虚勢も要らないハズですものね。
ユースケさんにとって良き人であったであろうその筋の方々。
きっと子供の素直な気持ちに触れ穏やかな時になったと思われます^^

私も親の仕事(飲食)の関わりで同様の方々とお付き合いがありました。
学生時代周りが怖がっていても私には普通の人として接してくれたので悪い思い出はありません。
相手によって態度が変わるのはその筋であろうとなかろうとある事だと。
ただ・・・変えないでいてくれるのは心を許している証だった思いたいですね。






月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.