Nicotto Town



追悼 アラン・ホールズワース


二十世紀のエレクトリック・テクニカル・ギター奏者として、
おそらくは頂点を極めたアラン・ホールズワースが先月の半ば、
70歳で亡くなっていたことを先ほど知りました。仕事してる場合じゃねえや。

フュージョン、メタル、プログレ、ハイパージャズ問わず、
この人の技術と音色に影響を受けてないギタリストは皆無です。
では偉大な音楽家だったか?というと……流石にそこには疑問符がつく。

ですが、サックスの音色でコルトレーン的なインプロヴァイズを展開し、
和声的にはピアニスト、特にビル・エバンス的なハーモニーを志向した。
この偉業を受け継ぐ人はほとんどおらず、技術の継承のみに留まっている。

ソロではトーナリティに対する感性がとにかく独特、唯一無二。
いわゆる「アウト系」プレイヤーとも異なる「ファーラウェイ」である。
コードプログレッションに間違いなく則っており、「フリー」にはいかない。

この人の演奏を始めて聞いたのは75年前後だったはず。
後期ソフト・マシーンの『バンドレス』です。もう止めてくれといいたくなる、
壮絶なトコロテンフレーズの洪水にあっけにとられたものでした。

ゴードン・ベックとのデュオアルバム聴いて、全てを諦めた。
アコギで演ってる『ディミニッシュド・レスポンシビリティ』って曲、
永遠に解決しない問題を音にしたらこうなった、みたいな壮絶さ。

フリー系のドラマー、ジョン・スティーブンスとも演ってますが、
やはり「フリー」にはならない。頭の中で調性を意識してる弾き方。
頭の中で鳴っている物を具現化するためにギター弾いてる。脱帽です。

超絶技巧の演奏者は今後も山のように出てくると思うんですが、
私にとってホールズワースは別格でした。真のイノヴェイターだった。
だから売れなかった。うーん……そういうもんだと思います。

何が凄いか? ……どうだろう、『音楽』の範疇で語るとダメだろうなー。
ギターミュージックの文脈で聴き、評価するしかないでしょう。
以下、お気に入りをあげておきましょう。万が一興味があれば。

1.ハザード・プロフィール・パート1(ソフト・マシーン『収束』)
これはライブ映像が見られますね。まあ一度見てください。アホです。
そのあとでスタジオ盤聴いてもいいかな。彼の基本はこのあたりです。

2.ロード・ゲームス(同タイトル)
この人で一番売れたミニアルバムのタイトル曲、ヴァンヘイレンの口利き。
できれば東京のライブ演奏が宜しい。Aの曲でソロをFから始めるんですよ。

3.エクスプレッソ(ゴング『ゲイズユース』)
マシーン参加後だったはず。滑らかなフレージングの開始期。
ちなみにホールズワース、フルピッキングでも光より速いと思う。

4.フォイアーズ・オブ・ファン(テンペスト『テンペスト』)
マシーンより前。ライブ音源ではあのオリー・ハルソールとツインギター。
銀河系最強のツートップだと思います。ロックらしさが強い曲。

5.シングス・ユー・シー(ソロアルバム)
ホールズワースの代名詞的な曲。異常な和声感覚が堪能できるはず。
評判の悪い1stソロアルバムで自分で歌ってるテイクが好きです。

決定。今日は仕事しない。ギター持ってスタジオいってきます。

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2017/05/24 07:38
>ヘルミーナさん

迂闊にも訃報をひと月くらい知らなかったです。ファン失格。
ホールズワースをもし買うのなら、スタンダードばかりやった『None too soon』がお勧めです。
ザッパとマイルスから声がかかったけど、「自分の曲できないからイヤ」って断った頑固者でもありました。
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2017/05/23 17:42
ときどき行く中古盤屋さんに「メタル・ファティーグ」がずっと売れ残っていて買おうかどうしたもんか迷っています。

その、メタル・ファティーグ1曲め、オマージュなのだと思うのですが、フランク・ザッパの「Them or Us」にそっくり。

わたしはネットラジオの放送で、放送をやっているニコ友さんのお部屋でアラン・ホールズワースの訃報を知りました。
ユースケ様知っておられるかと思ったんですよ~。



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